発病機序(正気と邪気の関係)

発病機序(はつびょうきじょ) とは、病気がどのようにして発生するのか、その仕組みを説明する東洋医学の理論です。
病の発生は、人体を守る力である正気と、病因となる邪気との力関係によって決まると考えられます。


正気とは

正気(せいき) とは、体を健康に保ち、外邪から守る力の総称です。
気・血・津液・精や臓腑機能の総合的な働きを含みます。
正気が充実していれば、多少の邪気に侵されても病気にはなりません。


邪気とは

邪気(じゃき) とは、病気を引き起こす要因を指します。
外因(六淫)、内因(七情)、不内外因(飲食・労逸・外傷など)が邪気となり得ます。
邪気が強力であったり、正気が不足している場合に発病が生じます。


正気と邪気の関係

発病の有無は「正気と邪気のせめぎ合い」によって決まります。

  • 正気が強く、邪気が弱い: 病気にならない、または軽症で済む
  • 正気が弱く、邪気が強い: 容易に発病する
  • 正気と邪気が拮抗: 病気は長引くが急激には悪化しない

この関係性は、病気の進行や予後を判断する上で重要な基準となります。


病気の進展

発病後の経過も正気と邪気の動きに左右されます。

  • 正気が回復し、邪気を排除できれば病は治癒する
  • 邪気が勝り続ければ、症状が悪化・慢性化する
  • 正気と邪気の攻防が続けば、反復や遷延が生じる

まとめ

発病機序とは、病気の発生を正気と邪気の力関係で捉える考え方です。
養生や治療では「正気を高め、邪気を避ける」ことが基本原則となります。
これは日常生活の調整から治療法の選択に至るまで、東洋医学全体を貫く根本的な指針となっています。

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