病性(びょうせい) とは、病気の性質や傾向を表す概念であり、東洋医学の診断や治療方針を決めるうえで重要な指標です。
病性を見極めることで、病の本質をつかみ、適切な養生や治療が行えるようになります。
寒熱(かんねつ)
病性の基本的な性質は「寒」と「熱」に分けられます。
- 寒証: 冷え、顔色の青白さ、下痢、四肢の冷え、温めると楽になる
- 熱証: 発熱、口渇、顔の赤み、便秘、尿が濃い、冷やすと楽になる
治療では、寒証には温める方法を、熱証には冷ます方法を選びます。
虚実(きょじつ)
病の勢いや、正気と邪気の強弱による分類です。
- 虚証: 正気不足が主体。疲れやすい、息切れ、声が小さい、慢性的
- 実証: 邪気の勢いが強い。張った痛み、拒按、イライラ、急性の経過
虚実を判断することで、補う(補法)か、取り除く(瀉法)かの治療方針が決まります。
陰陽(いんよう)
寒熱・虚実をさらに包括的にまとめた病性の枠組みです。
- 陰証: 寒・虚の性質を持ち、冷え・無力感・静的傾向が強い
- 陽証: 熱・実の性質を持ち、熱感・活動性・動的傾向が強い
陰陽は病性の大局を示し、全体的な治療方向を決定する際の基盤となります。
その他の病性
寒熱・虚実・陰陽に加えて、以下のような分類も病性を理解する上で用いられます。
まとめ
病性とは、病気の性質を寒熱・虚実・陰陽などで捉える概念です。
診断において病性を把握することで、適切な治療法(補う・瀉す、温める・冷ます)が導かれます。
これは弁証論治の基礎を成し、東洋医学全体の臨床を方向づけるものとなります。
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