五能(ごのう)とは、生・長・化・収・蔵の五つの働きを、五行が示す生命活動の基本的な機能として捉えた概念である。
五行が「変化の型」を表すのに対し、五能はその型が具体的に示す
⇒ 生命の働きそのもの
を言語化したものである。
五能は「生命の運動過程」
自然界のあらゆる生命は、
- 生まれ
- 成長し
- 成熟・変化し
- 収束し
- 蓄えられる
という流れをたどる。
五能とは、この一連の流れを機能的に整理したものであり、五行の動きを最も直接的に表現した概念である。
各能が示す五行的意味
生(せい) ― 木
- 発生・開始・萌芽
- 内から外への動き
- 可能性が形を取り始める段階
⇒ 種が芽を出す瞬間。
⇒ 五行では木に対応。
生命活動の「始まりの力」を象徴する。
長(ちょう) ― 火
- 成長・発展・拡大
- 外向き・上昇
- 活動の高まり
⇒ 植物が盛んに繁茂する状態。
⇒ 五行では火に対応。
生命エネルギーが最も外へ発散する段階。
化(か) ― 土
- 成熟・変化・生成
- 受容し、形を整える
- 次の段階へつなぐ
⇒ 作物が実り、栄養へ変わる過程。
⇒ 五行では土に対応。
生命活動の中心的働きであり、他のすべての能を支える。
収(しゅう) ― 金
- 収斂・整理・統合
- 不要なものを排する
- 内へまとめる
⇒ 落葉し、種が残る秋の状態。
⇒ 五行では金に対応。
生命活動を整え、次へ備える段階。
蔵(ぞう) ― 水
- 蓄蔵・保存・静止
- エネルギーの温存
- 根源への回帰
⇒ 冬に生命が内にこもる状態。
⇒ 五行では水に対応。
次の「生」を準備する、最も深い段階。
五能は循環する機能である
五能は直線的な段階ではなく、循環する連続した機能である。
生 → 長 → 化 → 収 → 蔵 → 再び生
この循環が途切れず続くことが、生命の健全な状態を意味する。
五能は自然界と人体に共通する
五能の概念は、自然界だけでなく人体の生理機能にもそのまま当てはまる。
例:
- 生:細胞の新生、気血の生成
- 長:成長、活動、代謝の亢進
- 化:消化吸収、物質変換
- 収:排泄、統合、調整
- 蔵:休息、エネルギー貯蔵
つまり五能とは、生命活動の基本的なリズムそのものである。
五能が示す東洋医学的思想
五能の思想の核心は、生命は常に「動きながら循環している」という点にある。
東洋医学では、
- 生まれ続けなければならない
- 成長し続けなければならない
のではなく、
⇒ 生む・伸ばす・変える・収める・蓄える
という全ての段階が調和していることを健康と考える。
五能と五行の対応まとめ
| 五能 | 五行 | 本質的意味 |
|---|---|---|
| 生 | 木 | 発生・開始 |
| 長 | 火 | 成長・拡大 |
| 化 | 土 | 成熟・変換 |
| 収 | 金 | 収斂・整理 |
| 蔵 | 水 | 蓄蔵・保存 |
まとめ(五能の一文定義)
五能とは、五行の変化が生命活動として現れた、生・長・化・収・蔵という循環する五つの働きである。