はじめに
同じ病でも、
- のぼせ・頭痛・動悸など上に出る症状
- 冷え・だるさ・慢性痛など下に残る症状
として現れることがあります。
東洋医学では、これは偶然ではなく、気血水精の動きと、五臓の位置関係によって説明されます。
本記事では、病が「上に出る/下に残る」理由を、全体構造として整理します。
人体は「上が軽く、下が重い」構造をもつ
東洋医学では、
- 気は軽く、上に昇りやすい
- 血・水・精は重く、下に留まりやすい
という性質を前提に人体を捉えます。
このため、失調が起こると、
- 軽いものは上へ
- 重いものは下へ
偏りやすくなります。
病が「上に出る」ときに起きていること
① 気が上衝している
- 気滞が解けず、上へ逃げる
- 肝の疏泄が過剰・失調
症状としては、
- 頭痛
- のぼせ
- めまい
- イライラ
などが現れます。
⇒ 流れない気は、上へ吹き上がりやすいのです。
② 肺・心が巻き込まれている
- 肺の宣発が強すぎる
- 心の統御が追いつかない
これにより、
- 動悸
- 息切れ
- 不安感
といった「上焦症状」が前面に出ます。
③ 下が支えきれていない
- 腎の納気・納精が弱い
- 下焦が空虚
⇒ 下が弱いと、上は相対的に昂ります。
病が「下に残る」ときに起きていること
① 血・水・精が滞っている
- 動かす力(気)が弱い
- 脾の運化が低下
結果として、
- 冷え
- 浮腫
- 重だるさ
が慢性的に残ります。
② 腎が深く関わっている
- 長期の消耗
- 回復力の低下
症状は、
- 腰・下肢の痛み
- 冷え
- 疲労の抜けなさ
として現れます。
⇒ 腎が関与すると、症状は下に定着しやすいのです。
③ 動かす臓が弱っている
- 肝が流せない
- 脾が持ち上げられない
⇒ 下に残る病は、「動かせない病」でもあります。
上に出て、下に残るケース
実際には、
- 上は熱っぽい
- 下は冷えて重い
という状態もよく見られます。
これは、
- 上焦:気が滞って熱化
- 下焦:血水精が不足・停滞
している状態です。
⇒ 上熱下寒は、現代人に非常に多い病態です。
「位置」は治療の方向を示す
病が、
- 上に出ているのか
- 下に残っているのか
を見極めることは、
- 上げるべきか
- 下ろすべきか
- 支えるべきか
を判断する重要な手がかりになります。
まとめ
病が上に出るか、下に残るかは、
- 気血水精の性質
- 五臓の位置と役割
- 支える力と動かす力のバランス
によって決まります。
症状の種類だけでなく、「どこに出ているか」を見ることで、
病の段階と方向性が立体的に理解できるようになります。
それが、東洋医学で全体像を読むということです。