胃熱上攻(いねつじょうこう)とは、胃にこもった実熱が上方へと亢進し、口腔・歯・顔面などの上部に炎症様症状を引き起こす病機を指します。
「胃の熱が上に突き上がる」状態です。
胃は本来、和降(下に降ろす)を主る臓腑ですが、熱がこもるとこの機能が乱れ、熱が上逆して上部に集中します。
その結果、歯痛や口内炎、歯肉の腫れなどの症状が現れます。
胃熱上攻の特徴としては、次のような性質があります。
- 上逆性(本来下るべきものが上がる)
- 実熱性(熱が強い)
- 局所炎症性(口腔・顔面)
- 急性または反復性
主な原因としては、次のようなものがあります。
- 飲食不節(辛辣・油膩・過食)
- 胃火の亢進
- 外邪の化熱
- ストレスによる化火
主な症状としては、次のようなものがみられます。
- 歯痛(特に上歯)
- 歯肉の腫脹・出血
- 口内炎
- 口臭
- 強い口渇(冷たいものを好む)
- 顔面の熱感
- 便秘(熱による)
舌脈の特徴としては、胃熱を反映して次のような所見がみられることが多いです。
- 舌質紅
- 舌苔黄厚
- 脈滑数
治法としては、胃の熱を清し、上逆を抑えることを目的として、次のような方法が用いられます。
- 清胃瀉火
- 瀉熱
- 通腑(便秘を伴う場合)
代表的な関連病証としては、次のようなものがあります。
- 胃火
- 陽明実熱
- 燥熱内結
- 口瘡
このように胃熱上攻は、胃にこもった実熱が上逆して、口腔や顔面に炎症症状を引き起こす病機です。
そのため治療では、局所だけでなく、胃の熱そのものを清して下降させることが重要とされます。