十四経脈の流注

督脈の流注

督脈は、胞中(小骨盤腔)に起こり、会陰部に出て、後正中線上を尾骨先端から腰部、背部、後頸部と上り、外後頭隆起直下[風府]に至り脳に入る。さらに頭部正中を通り、頭頂部[百会]に上り、顔面部正中を経て、上歯齦、上唇小帯の接合部[齦交]に終わる。
陽脈の海と呼ぶ。



任脈の流注

任脈は、胞中(小骨盤腔)に起こり、会陰部に出て、腹部、胸部および前頸部の正中線を上り、喉に至り、下顎の正中から下歯齦に至り、顔面をめぐって目に入る。陰脈の海と呼ぶ。



肺経の流注

手の太陰肺経は、中焦に起こり、下って大腸を絡い、かえりて噴門部をめぐり、横隔膜を貫いて肺に属する。肺から気管、喉頭をめぐって腋下に出て、上腕前外側、肘窩[尺沢]、前腕前外側、手関節前面横紋外端の橈骨動脈拍動部[太淵]、母指球外側を経て母指外側端に終わる。
前腕下部[列欠]より分かれた支脈が、示指外側端に至り、手の陽明大腸経につながる。



大腸経の流注

手の陽明大腸経は手の太陰肺経の脈気を受けて示指外側端に起こり、示指外縁をめぐって、第1・第2中手骨間の手背側[合谷]に出て、長・短母指伸筋腱の間[陽渓]に入る。前腕後外側(長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋との間)を上り、肘窩横紋外端[曲池]、上腕後外側、肩を上り、[大椎]に出る。[大椎]から大鎖骨上窩を上り、肺を絡い横隔膜を貫いて大腸に属する。
大鎖骨上窩で分かれた支脈は、頸部を上り、頬を貫き、下歯に入り、かえり出て口をはさみ、人中で左右交差し、鼻孔をはさんで、鼻翼外方で足の陽明胃経につながる。



胃経の流注

足の陽明胃経は、手の陽明大腸経の脈気を受けて鼻翼外方に起こり、鼻根部で足の太陽膀胱経と交わり、鼻の外側を下り、上歯に入り、かえり出て口をはさみ唇をめぐり、オトガイで交わる。戻って、顔面動脈拍動部[大迎]、下顎角、耳前から髪際をめぐり額中央に至る。
[大迎]から分かれた支脈は、総頚動脈拍動部[人迎]、気管をめぐり、大鎖骨上窩に入り、横隔膜を貫いて、胃に属し、脾を絡う。
本経は大鎖骨上窩より、胸部では前正中線外方4寸を、腹部では前正中線外方2寸を下り、幽門部に起こり腹部を下る支脈と、鼡径部の大腿動脈拍動部[気衝]で合流し、大腿前外側、膝蓋骨、下腿前面を下って、足背から足の第2指外側端に終わる。
膝下3寸から分かれた支脈は、下腿前面を下り、足の第3指外側端に出る。
足背で分かれた支脈は、足の第1指内側端に至り、足の太陰脾経につながる。



脾経の流注

足の太陰脾経は、足の陽明胃経の脈気を受けて足の第1指内側端に起こり、表裏の境目に沿って内果の前を通り、脛骨の後に沿って下腿内側を上り、足の厥陰肝経と交わって前に出て、膝を経て大腿前内側を上る。腹部では前正中線外方4寸を上りながら、任脈、胆経、肝経に交わった後、脾に属し、胃を絡う。
さらに横隔膜を貫き、腹部では前正中線外方6寸を上り、外に曲がって側胸部中央[大包]に至る。さらに、上に向かい[中府]を通り、食道をはさみ、舌根につらなり舌下に広がる。
また、上腹部より分かれた支脈は、横隔膜を貫き、心中で手の少陰心経につながる。



心経の流注

手の少陰心経は、足の太陰脾経の脈気を受けて心中より起こり、心系(心臓、大動脈など)に属し、横隔膜を貫いて下り、小腸を絡う。
心系より分かれた支脈は、上って咽喉をはさみ、目につながる。
本経は、心系から肺を経て、腋下[極泉]に出て、上腕前内側、肘窩横紋の内端、前腕前内側、手掌を経て小指外側端に至り、手の太陽小腸経につながる。



小腸経の流注

手の太陽小腸経は、手の少陰心経の脈気を受けて小指内側端に起こり、手の内側、前腕後内側、尺骨神経溝[小海]、上腕後内側を上り、肩関節に出て、肩甲骨をめぐり、肩上から、大鎖骨上窩に入り、下って心を絡う。咽喉、食道をめぐったのち、横隔膜を貫いて胃に至り、小腸に属する。
大鎖骨上窩で分かれた支脈は頸をめぐり、頬に上り、外眼角に至り、耳の中に入る。頬から分かれた支脈は、鼻を通って内眼角に至り、足の太陽膀胱経につながる。

読み上げの音声ファイル(VOICEBOX:聖騎士紅桜)


膀胱経の流注

足の太陽膀胱経は、手の太陽小腸経の脈気を受けて内眼角に起こり、前頭部を上り、頭頂部[百会]で左右が交わる。
頭頂部[百会]で分かれる支脈は、耳の上に行き側頭部に広がる。
本経は頭頂部より入って脳につらなり、かえり出て分かれて項を下り、肩甲骨の内側をめぐって脊中の両側、後正中線外方1寸5分を下り、腰部で脊柱起立筋を通り、腎を絡い、膀胱に属する。
本経は、腰から下って、殿部、大腿部後面を下って膝窩に入る。
後頸部で分かれたもう一本の支脈は、脊柱の両側、後正中線外方3寸を下り、殿部、大腿後外側を下り、膝窩中央[委中]で本経と合流する。さらに下腿後面(腓腹筋)を下り、下腿後外側、外果後方を通って足の第5指外側端に至り、足の少陰腎経につながる。



腎経の流注

足の少陰腎経は、足の太陽膀胱経の脈気を受けて足の第5指の下に起こり、斜めに足底中央[湧泉]に向かい、舟状骨粗面の下に出て内果の後[太渓]をめぐり、分かれて踵に入る。下腿後内側、膝窩内側、大腿後内側を上り、体幹では腹部の前正中線外方5分、胸部では前正中線外方2寸を上り、本経と合流する。
大腿後内側で分かれた本経は、脊柱を貫いて、腎に属し、膀胱を絡う。
さらに、腎より上って、肝、横隔膜を貫いて、肺に入り、気管をめぐって舌根をはさんで終わる。
胸部で分かれた支脈は心につらなり、胸中で手の厥陰心包経につながる。

 

心包経の流注

手の厥陰心包経は、足の少陰腎経の脈気を受けて胸中に起こり、心包に属し、横隔膜を貫いて三焦(上・中・下焦)を絡う。その支脈は、胸をめぐって腋窩に至る。
上腕前面、肘窩、前腕前面(長掌筋(腱)と橈側手根屈筋(腱)との間)、手掌を通り、中指先端中央[中衝]に終わる。
手掌の中央で分かれた支脈は、薬指内側端に至り、手の少陽三焦経につながる。



三焦経の流注

手の少陽三焦経は、手の厥陰心包経の脈気を受けて薬指内側端に起こり、手背、前腕後面、肘頭、上腕後面を上り、肩に上って胆経と交わり、大鎖骨上窩に入り、胸中より広がり、心包を絡い、横隔膜を貫いて三焦に属する。
胸中より分かれる支脈は、上って大鎖骨上窩に出て、項部から耳の後部、上部を経て側頭窩を過ぎ、目の下方に至る。耳の下で分かれた支脈は耳の後から中に入り前に出て、外眼角に至り、足の少陽胆経につながる。



胆経の流注

足の少陽胆経は、手の少陽三焦経の脈気を受けて外眼角に起こり、額角、耳の後、頸をめぐり、三焦経に交わり、大鎖骨上窩に入る。
耳の後より分かれた支脈は、耳の中に入り、前に出て外眼角に至る。
外眼角より分かれた支脈は、[大迎]へ下り三焦経に合し、目の下から頸を下り大鎖骨上窩で合流して、胸中に至り、横隔膜を貫き、肝を絡い、胆に属する。さらに側腹部をめぐり鼡径部に出て、陰毛をめぐる。
また、支脈は大鎖骨上窩より腋窩に下り、季肋部を下る支脈と、股関節で合流する。そこから大腿外側、膝外側、腓骨の前を下って腓骨下端に至り、外果の前[丘墟]に出て、足背をめぐり、足の第4指外側端に終わる。
足背で分かれた支脈は、足の第1指端に至り、足の厥陰肝経につながる。



肝経の流注

足の厥陰肝経は、足の少陽胆経の脈気を受けて足の第1指外側端に起こり、足背、内果の前、下腿前内側を上り、脾経と交わり、膝窩内側、大腿内側に沿って、陰毛の中に入り、生殖器をめぐって下腹に至り、側腹部を経て、胃をはさんで肝に属し、胆を絡う。さらに、横隔膜を貫き季肋に広がり、食道、気管、喉頭、目系(眼球、視神経)につらなり、額に出て、頭頂部[百会]で督脈と交わる。
目系から分かれた支脈は、頬の裏に下り唇の内側をめぐる。肝から分かれた支脈は、横隔膜を貫いて肺を通って、中焦に至り、手の太陰肺経とつながる。


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