清竅とは

■ 意義

清竅とは、頭面部および五竅(目・耳・鼻・口・舌)の清陽の気を通し、濁邪・痰濁・湿濁・熱邪などを取り除いて、感覚機能と精神の働きを回復させる治法です。
濁邪が上焦に滞ると、頭重・頭痛・めまい・鼻閉・耳鳴・口苦・痰涎が絡むなどが生じるため、清熱、化痰、祛湿、開竅、醒神などを組み合わせます。


■ 適応症(主治)

  • 頭痛・頭重感・めまい・ふらつき
  • 鼻閉・嗅覚低下・副鼻腔炎・鼻詰まり
  • 耳鳴・難聴
  • 口苦・口臭・咽頭の痰
  • 意識朦朧、昏睡、脳血管障害の後遺症
  • 痰濁上擾・湿濁蒙閉・熱邪上擾・瘀血停滞

■ 病機背景

  • 湿濁・痰濁が上焦に停滞 → 清陽の上昇を妨げ、頭面の感覚機能低下
  • 熱邪上擾 → 竅閉塞し頭痛・煩躁・口苦・鼻閉が出現
  • 瘀血が頭部の絡脈を阻滞 → 頭痛・めまい・耳鳴
  • 久病・虚弱による気虚 → 清陽が上昇できない

■ 常用薬物

  • 菖蒲、遠志、石菖蒲 … 開竅醒神・化痰
  • 竹茹、瓜蔞仁、貝母、半夏 … 化痰降逆
  • 羚羊角、石決明、牡蠣、黄芩 … 清熱平肝・清頭目
  • 蒼朮、茯苓、薏苡仁 … 祛湿清濁
  • 川芎、丹参、桃仁、紅花 … 活血通絡

■ 代表処方

  • 温胆湯(うんたんとう)— 痰濁上擾による頭重・めまい・不眠
  • 通窍活血湯(つうきょうかっけつとう)— 瘀血による頭痛・鼻閉
  • 清気化痰丸(せいきかたんがん)— 痰熱阻竅
  • 羚角鉤藤湯(れいかくこうとうとう)— 熱邪上擾・めまい・頭痛
  • 川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)— 風邪頭痛

■ 配伍例

病証タイプ方向性
痰濕蒙竅化痰祛湿・開竅醒神
痰熱上擾清熱化痰・開竅
瘀血阻竅活血化瘀・通絡
風熱上擾清熱疏風・通竅
気虚清陽不升益気升陽・清竅

■ まとめ

清竅とは、濁邪を除き清陽の流れを回復させ、五官の働きを改善する治法である。
頭痛・鼻閉・耳鳴・めまい・痰多・意識障害などに応用され、痰濁・湿濁・熱邪・瘀血などの病因に応じて方剤を調整する。

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