虚弱体質とは

虚弱体質とは、先天的あるいは後天的な要因によって正気（気・血・津液・精）が不足し、外邪に対する抵抗力や生理機能が低下した体質状態を指します。
病名というよりも体質・素因を表す概念であり、風邪をひきやすい、疲れやすい、回復が遅いなどの特徴を持ち、さまざまな病証の基盤となります。

主な原因

• 先天不足： 両親から受け継いだ腎精が不足している。
• 加齢： 年齢とともに精・気・血が自然に消耗。
• 久病・慢性疾患： 長期の病気により正気が損耗。
• 過労・睡眠不足： 気血の回復が追いつかない。
• 飲食不摂： 脾胃が損なわれ、気血生化が不足。

病理機転

• 正気不足により、臓腑・経絡・気血の機能が低下する。
• 衛気が弱く、外邪を防御できず外感病を反復しやすい。
• 回復力が低く、軽症でも慢性化・複雑化しやすい。
• 病邪が去っても虚が残り、再発を繰り返す。

主な症状

• 疲れやすい、気力が続かない
• 風邪をひきやすく治りにくい
• 顔色が淡白または萎黄
• 食欲不振、胃腸が弱い
• 寒がり、冷えやすい
• 動悸、息切れ、めまい

舌・脈の所見

• 舌： 淡、胖、苔薄白
• 脈： 細弱・虚・無力

体質タイプ別の傾向

• 気虚体質： 倦怠感、息切れ、発汗しやすい。
• 血虚体質： 顔色不良、めまい、不眠。
• 陽虚体質： 冷え、下痢、浮腫。
• 陰虚体質： 口渇、ほてり、寝汗。
• 腎虚体質： 発育不良、老化促進、腰膝無力。

治法

• 補益正気： 気・血・陰・陽を体質に応じて補う。
• 健脾養胃： 後天の気血生化を充実させる。
• 補腎培元： 先天の精を養い体力の根本を強化。
• 扶正固表： 衛気を強め外邪侵入を防ぐ。

養生の考え方

• 規則正しい生活リズムを保つ。
• 過労・夜更かしを避け、十分な休養をとる。
• 消化に良く温性の食事を中心にする。
• 体質に合った軽い運動で気血を巡らせる。
• 無理な発汗・冷却を避ける。

まとめ

虚弱体質は、正気不足を基盤とする体質的状態であり、さまざまな病証の発生・慢性化の背景となります。
治療と養生の要点は補虚扶正を中心に、脾・腎を養い、体質改善を図ることです。
日常管理によって体力と抵抗力を高めることが、最大の予防と治療となります。