五病(語・噫・呑・咳・欠)とは

五病(ごびょう)とは、東洋医学において五臓の失調が特有の動作・症状として現れたものを指し、語・噫・呑・咳・欠の5つに分類されます。
これらは「病」という字が付いていますが、病名ではなく、臓の機能異常を示す特徴的な反応として理解されます。
すなわち五病は、五臓の気の失調が引き起こす反射的・機能的な症候を示したものです。


■ 五病と五臓・五行の対応

五行 五臓 五病 意味・現象
多言・独語・言語の制御異常
げっぷ・気の上逆
嚥下異常・飲み込みの障害
咳嗽・呼吸反射
あくび・深い吸気反射


■ 五病の東洋医学的な意味

① 語(ご) — 肝の病

語は言語活動の異常を指します。
肝は疏泄を主り精神の伸びやかさに関わるため、失調すると

  • 独り言が多い
  • 怒りっぽく話し続ける
  • 言葉の制御ができない

などが現れます。
これは肝気の過度な上逆や鬱滞の反映とされます。

② 噫(あい) — 心の病

噫とはげっぷ・気の上逆現象を指します。
心は気血の循環を主るため、心気の乱れにより上逆反応として現れると考えられます。

③ 呑(どん) — 脾の病

呑は飲食の嚥下異常を意味します。
脾は運化を司るため、失調すると

  • 飲み込みにくい
  • 喉の詰まり感
  • 食物が降りにくい

といった症状が現れます。

④ 咳(がい) — 肺の病

咳は肺の宣発粛降の失調による典型症状です。
肺気の逆上や痰湿停滞により咳嗽が起こります。

⑤ 欠(けつ) — 腎の病

欠とはあくびを指します。
腎は納気を主るため、腎気虚では深く吸い込もうとする反射としてあくびが頻発します。


■ 五病の本質

  • 五病は臓の失調による「反射的現象」
  • 気の逆乱・不足・停滞を示すサイン
  • 診断上は軽視されがちだが重要な徴候

■ 五病と気の異常パターン

五病 主な気の異常
気の上逆・疏泄過多
気の上逆
気滞・運化失調
気逆・宣降失常
気虚・納気不足


■ まとめ

五病とは、五臓の機能失調が身体の反射行動として現れた徴候を示す概念です。
これらは一見些細な動作ですが、東洋医学では

  • 気の流れの異常
  • 臓腑機能の偏り
  • 病勢の方向性

を読み取るための重要な診断情報とされています。

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