五労(久行・久視・久坐・久臥・久立)とは

五労(ごろう)とは、東洋医学において特定の動作や姿勢を長時間続けることによって生じる身体への負担と、それによって傷られる五臓を示した概念です。
具体的には、久行・久視・久坐・久臥・久立の5つがあり、「過度な偏った生活習慣が臓腑機能を損なう」という養生思想を表しています。


■ 五労と五臓・五行の対応

五行 五臓 五労 意味
久行 長時間歩き続けること
久視 長時間見続けること
久坐 長時間座り続けること
久臥 長時間横になり続けること
久立 長時間立ち続けること


■ 五労の東洋医学的な意味

① 久行傷肝(きゅうこうしょうかん)

歩行は筋の活動を伴い、筋は肝が主るため、長時間歩き続けると肝血を消耗します。
その結果、

  • 筋疲労
  • こむら返り
  • 目の疲れ

などが起こります。


② 久視傷心(きゅうししょうしん)

視覚活動は精神と血を消耗し、心血に負担をかけます。
現代では特にスマホ・PCの長時間使用が典型例です。

  • 目の疲れ
  • 不眠
  • 動悸


③ 久坐傷脾(きゅうざしょうひ)

長時間座ると気血の巡りが停滞し、脾の運化機能が低下します。

  • 食欲低下
  • むくみ
  • 倦怠感


④ 久臥傷肺(きゅうがしょうはい)

横になり続けると肺気の宣発作用が弱まり、気の巡りが滞ります。

  • 気力低下
  • 呼吸浅表
  • 痰の停滞


⑤ 久立傷腎(きゅうりつしょうじん)

立ち続けることは骨と腎精を消耗します。

  • 腰痛
  • 膝のだるさ
  • 足の無力感

■ 五労の本質

  • 「過度・偏り」が臓を傷る
  • 同じ姿勢の継続が気血循環を妨げる
  • 養生はバランスが最重要

■ 五労が示す気血の失調パターン

五労 主な消耗対象
久行 肝血・筋
久視 心血・神
久坐 脾気
久臥 肺気
久立 腎精・骨


■ まとめ

五労とは、偏った生活習慣が五臓に与える慢性的負担を体系化した概念です。
これは東洋医学の養生思想の核心であり、

  • 「やりすぎ」が病を生む
  • 身体はバランスで保たれる
  • 動・静・姿勢の調和が健康の鍵

という重要な教えを示しています。

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