はじめに
症状が長引く、繰り返す、形を変えて続く――
東洋医学では、こうした状態を単なる「治りにくさ」ではなく、臓腑間の構造的な問題として捉えます。
本記事では、
- なぜ慢性化は起こるのか
- なぜ脾だけを整えても止まらないことがあるのか
を、肝・心・腎の三臓を軸に整理します。
慢性化とは「時間が絡む病態」である
慢性化の本質は、
- 病因が存在し続けること
- 体が無理な補償を続けていること
にあります。
ここで重要になるのが、
- 流れを司る 肝
- 統合を司る 心
- 持続と蓄積を司る 腎
という三臓です。
肝:流れが止まると、病は居座る
肝の役割
- 気機の疏泄
- 血量配分の調節
肝は、「一時的な不調を流して終わらせる」役割を担います。
肝が関わる慢性化
- 気滞が解けない
- 血が動かず、局所に留まる
結果として、
- 痛みが固定化する
- 張り・違和感が常在化する
⇒ 肝の失調は、「症状が定着する」方向に働きます。
心:全体がまとまらないと、回復に向かわない
心の役割
- 血脈の統率
- 神志の主宰
心は、全身の情報と循環を一つにまとめる臓です。
心が関わる慢性化
- 血の巡りが均一でない
- 意識・睡眠・感情が乱れる
これにより、
- 回復のリズムが作れない
- 昼夜・活動休息の切り替えが崩れる
⇒ 心の乱れは、「治る方向への統合」を妨げます。
腎:支え続けると、消耗が病に変わる
腎の役割
- 精の貯蔵
- 成長・老化の制御
腎は、長期戦を支える基盤です。
腎が関わる慢性化
- 無理な代償が続く
- 精が静かに削られる
結果として、
- 回復力そのものが低下する
- 年単位で症状が変形する
⇒ 腎の関与は、「慢性化が体質化する」段階です。
三臓が絡む「慢性化の連鎖」
典型的な流れを示します。
脾の弱りで生成が落ちる
肝が流そうとして緊張する
心が統合しきれずリズムが乱れる
腎が補い続けて消耗する
この循環が固定されると、症状は“病名を変えながら”続いていきます。
なぜ対症療法では止まらないのか
- 肝だけを緩めても
- 心だけを安定させても
- 腎だけを補っても
構造が変わらなければ、体は同じ代償パターンを繰り返します。
⇒ 慢性化とは、「治り方の癖」そのものなのです。
慢性化をほどく視点
東洋医学的には、
- 肝を流し
- 心を整え
- 腎を守る
ことを同時に考えます。
ただしその土台には、必ず脾の立て直しがあります。
まとめ
慢性化とは、
- 肝で流れきれず
- 心でまとまらず
- 腎が削られ続ける
という三臓の協調不全です。
症状だけでなく、「体がどう耐えてきたか」を読むこと。
それが、慢性化を解く第一歩になります。
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