五主時(ごしゅじ)とは、五行(木・火・土・金・水)にそれぞれ対応する季節・時相(時間的支配)を示した概念です。
自然界の運行と人体の生理・病理が相応するという天人相応の思想に基づき、五臓は特定の「時」を主り、その季節に最も影響を受けやすく、また最も旺盛になるとされます。
■ 五主時の対応表
| 五行 | 主時(季節) | 五臓 | 気候特徴 | 生理的傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 木 | 春 | 肝 | 風気が盛ん | 発陳・条達・上昇 |
| 火 | 夏 | 心 | 暑熱 | 成長・発散・外向 |
| 土 | 長夏(梅雨〜土用) | 脾 | 湿気 | 化生・受納・中和 |
| 金 | 秋 | 肺 | 燥気 | 収斂・粛降 |
| 水 | 冬 | 腎 | 寒気 | 蔵精・閉蔵 |
■ 各主時の意味
● 春は肝を主る(木)
万物が芽吹き、気が上昇し、伸びやかに発散する季節。
肝の「疏泄・条達」の働きが最も活発になる反面、肝気鬱結・肝陽上亢・風動なども起こりやすい時期。
● 夏は心を主る(火)
陽気が極まり、外向・発散が最大になる。
心火亢盛、発汗過多、心神不安などが生じやすい。
● 長夏は脾を主る(土)
湿が盛んで、消化吸収機能に負担がかかる。
食欲不振、倦怠、湿困脾胃が生じやすい。
● 秋は肺を主る(金)
乾燥が強まり、収斂の気が働く。
燥邪犯肺、皮膚乾燥、咳嗽などが増える。
● 冬は腎を主る(水)
万物が蔵され、閉蔵・内守の時。
腎陽虚・冷え・精気消耗に注意すべき季節。
■ 時相と養生の原則
- 春:肝気を伸ばす(抑え込みすぎない)
- 夏:心火を清し、津液を守る
- 長夏:脾を健やかにし湿を防ぐ
- 秋:肺を潤し、燥を防ぐ
- 冬:腎精を蔵し、過労を避ける
これを順時養生といいます。
五主時は、単なる季節分類ではなく、診療や治療方針を決める重要な基準でもあります。
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