方剤における五味

五味(ごみ) は、方剤(漢方薬)の構成において非常に重要な要素です。
酸・苦・甘・辛・鹹 の五つの味は、それぞれ異なる薬理的性質を持ち、
方剤全体のバランスや作用を決定する指標となります。


酸(さん) ― 収斂・固める

  • 五味子(ごみし)
  • 山茱萸(さんしゅゆ)
  • 烏梅(うばい)
  • 石榴皮(せきりゅうひ)
  • 梅肉(ばいにく)

苦(く) ― 清熱・燥湿・堅める

  • 黄連(おうれん)
  • 黄芩(おうごん)
  • 竜胆(りゅうたん)
  • 黄柏(おうばく)
  • 苦参(くじん)
  • 大黄(だいおう)

甘(かん) ― 補益・調和・緩和

  • 甘草(かんぞう)
  • 大棗(たいそう)
  • 地黄(じおう)
  • 蜂蜜(ほうみつ)
  • 麦門冬(ばくもんどう)
  • 人参(にんじん)

辛(しん) ― 発散・行気・活血

  • 生姜(しょうきょう)
  • 桂枝(けいし)
  • 紫蘇葉(しそよう)
  • 細辛(さいしん)
  • 防風(ぼうふう)
  • 白芷(びゃくし)

鹹(かん) ― 軟堅・下ろす

  • 牡蛎(ぼれい)
  • 昆布(こんぶ)
  • 海藻(かいそう)
  • 芒硝(ぼうしょう)
  • 玄参(げんじん)

まとめ

方剤における五味は、単なる味覚ではなく、それぞれの生薬がもつ薬理作用や臓腑への帰経を表しています。
酸は収斂、苦は清熱、甘は補益、辛は発散、鹹は軟堅と、それぞれの特性を理解することで、
方剤の組み立て方や効能をより深く理解することができます。

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