燥邪(そうじゃ) とは、東洋医学における「六淫(ろくいん)」のひとつで、
乾燥した気候や環境によって生じる外邪です。
特に秋に多く、体の津液(体液)を損ない、乾燥症状を引き起こします。
燥邪の性質
- 乾燥: 津液を消耗させ、皮膚や粘膜を潤い不足にする
- 傷肺: 肺は潤いを好むため、乾燥に弱く影響を受けやすい
- 収斂: 乾燥によって気血の流れを停滞させる
燥邪による主な症状
- 咳嗽、痰が少なく乾いた咳
- のどや鼻の乾燥、鼻血
- 皮膚の乾燥、かゆみ
- 唇の乾燥、口渇
- 便秘、尿量の減少
燥邪が関与する病理
- 外燥: 季節や環境の乾燥によるもの。秋に多発
- 内燥: 陰虚などにより体内の潤いが不足することで発生
- 肺燥: 肺に影響し、乾いた咳や呼吸の不快感をもたらす
燥邪に対する治療の方向性
治療の基本は 潤燥・養陰・潤肺 です。
鍼灸では「太淵」「肺兪」「中府」「照海」などを用い、肺を潤し津液を補います。
漢方薬では「麦門冬湯」「沙参麦門冬湯」「杏蘇散」などが代表的です。
食養生としては、梨・はちみつ・白きくらげ・百合根・ごまなど潤いを補う食品が適しています。
まとめ
燥邪とは、乾燥した気候や陰虚に伴う潤い不足によって生じる外邪で、
肺や皮膚に影響を与え、咳や乾燥症状を引き起こします。
治療は潤いを補い、津液を保つことが中心です。
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