湿邪(しつじゃ) とは、東洋医学における「六淫(ろくいん)」のひとつで、
湿気の多い環境や体内の水分代謝の乱れによって生じる外邪です。
体に侵入すると、重だるさや消化器症状を引き起こしやすくなります。
湿邪の性質
- 重濁: 体を重く、だるく感じさせる
- 粘滞: 粘りつき停滞しやすく、治りにくい
- 下趨: 下半身に症状を起こしやすい(むくみ・下痢など)
- 阻滞: 気血や津液の流れを妨げる
湿邪による主な症状
- 体が重だるい、四肢の倦怠感
- 頭が重い、頭痛
- 食欲不振、胃のつかえ感
- 軟便や下痢
- むくみ、関節の腫れや重さ
- 皮膚のじゅくじゅく感や湿疹
湿邪が関与する病理
- 脾胃の障害: 脾の運化作用を妨げ、消化不良や下痢を起こす
- 痰湿: 水分代謝が滞り、痰や余分な水分が溜まる
- 湿熱: 湿邪が熱と結びつき、皮膚炎や尿路感染症などを引き起こす
湿邪に対する治療の方向性
治療の基本は 健脾化湿・利水滲湿 です。
鍼灸では「足三里」「陰陵泉」「豊隆」「三焦経の経穴」などを用い、脾胃を整え水分代謝を促します。
漢方薬では「平胃散」「藿香正気散」「五苓散」などが代表的です。
食養生としては、豆類やとうもろこし、冬瓜、ハトムギなどが有効です。
まとめ
湿邪とは、外界の湿気や体内の水分代謝不良によって生じる外邪で、
「重く・粘り・停滞する」という性質を持ちます。
消化器症状やむくみ、倦怠感と関係が深く、
治療は脾を健やかにし、湿を取り除くことが中心となります。
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