尿頻(にょうひん/小便頻数)とは、小便の回数が異常に多くなる状態を指します。
尿量が多い場合もあれば、量は少ないが頻繁に排尿したくなる場合もあります。
東洋医学では、腎気虚・膀胱虚寒・湿熱下注などによって膀胱の気化作用や固摂機能が失調し、尿の貯蔵・排泄バランスが乱れることで発生すると考えられます。
原因
- 腎気不足: 腎の固摂機能低下により尿が漏れやすく、頻尿となる。
- 膀胱虚寒: 寒邪や陽気不足で膀胱の気化作用が弱まり、尿が頻繁に出る。
- 湿熱下注: 下焦に湿熱が滞り、尿路に刺激を与え頻尿・排尿痛を生じる。
- 脾肺気虚: 生成された気が弱く、腎を補助できず固摂力が不足する。
- 情志不調: ストレスや不安による肝気鬱結が膀胱に影響し、尿意を頻発させる。
主な症状
- 尿の回数が増える(昼間・夜間ともに多い)
- 尿量は多い、または少量で何度も行きたくなる
- 尿が黄色く濁る、灼熱感を伴う(湿熱タイプ)
- 尿が清長で量が多い、腰膝がだるい(腎陽虚タイプ)
- 倦怠感・息切れ・顔色が白い(脾肺気虚タイプ)
- 夜間頻尿、不眠、夢が多い(心腎不交タイプ)
舌・脈の所見
- 舌: 淡胖、白苔/紅で黄膩苔/あるいは裂紋あり。
- 脈: 沈細、弱、または滑数。
治療方針
- 補腎固摂: 腎気を補い、尿を制御する力を高める。
- 温陽利水: 腎陽不足や膀胱虚寒を改善する。
- 清熱利湿: 下焦の湿熱を取り除き、排尿痛や灼熱感を改善。
- 益気健脾: 脾肺気虚による固摂不足を補う。
- 代表方剤:縮泉丸、八味地黄丸、清心蓮子飲、竜胆瀉肝湯など。
養生・注意点
- 冷えを避け、下半身を温める(特に夜間頻尿タイプ)。
- 過度の水分・アルコール・カフェイン摂取を控える。
- 辛辣・油っこいものを減らし、利湿・清熱の食材(ハトムギ、冬瓜、緑豆など)を取り入れる。
- ストレスを溜めず、適度な運動で気血を巡らせる。
まとめ
尿頻は腎・膀胱の虚損や湿熱の停滞によって膀胱気化が失調し、尿の貯蔵・排泄が調整できなくなる病態です。
治療は「補腎固摂」「温陽利水」「清熱利湿」を基本とし、体質と症状に応じた方剤・生活改善が重要となります。
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