痰迷心竅とは

痰迷心竅(たんめいしんきょう) とは、東洋医学において「痰濁(たんだく)」が心に影響を及ぼし、心の働きである神志(精神・意識活動)が乱れた状態を指します。
心竅(しんきょう=心の清明なはたらきを司る部位)が痰により閉ざされることで、意識障害や精神錯乱などが生じる病態です。


原因

  • 脾胃の機能低下: 飲食の不摂生や虚弱により痰湿が生じやすくなる
  • 痰濁の停滞: 長期の痰湿が体内に滞り、心に影響を及ぼす
  • 外感邪気: 特に湿邪が加わり、痰濁を助長

主な症状

  • 精神錯乱、幻覚、独語(独り言)
  • 意識混濁、昏睡
  • 痰が多い、喉に痰がからむ
  • 顔色がくすむ、動作が緩慢

舌・脈の所見

  • 舌: 舌苔が厚く粘り、色は淡または暗い
  • 脈: 滑脈(つるつるした感触)、あるいは弦滑

代表的な方剤

  • 導痰湯(どうたんとう): 痰を除き、心神を清める。
  • 温胆湯(うんたんとう): 痰濁による不眠・多夢・精神不安に。
  • 安宮牛黄丸(あんきゅうごおうがん): 高熱や痰熱による意識障害に用いられる。

養生の考え方

  • 脂っこいもの・甘いもの・冷たいものを控え、痰湿をためない
  • 消化に優しい食事を心がける(大麦、はと麦、冬瓜など)
  • 適度な運動で気血の流れを促し、痰湿を停滞させない

まとめ

痰迷心竅とは、痰濁が心の清明な働きを妨げ、意識障害や精神錯乱を引き起こす病態です。
導痰湯や温胆湯などで痰を除き、脾胃を整えて痰湿を生じにくくすることが重要です。

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