心血瘀阻とは

心血瘀阻(しんけつおそ) とは、心における血の流れ(血脈)が滞り、心臓や胸部に痛みや違和感を生じる病態を指します。
血瘀(けつお=血の停滞)が心の働きを阻害することで、胸の痛みや精神面の不安定さが現れます。


原因

  • 情志失調: 長期のストレスや怒り、抑うつが気滞を招き、血瘀へと発展
  • 寒邪の侵襲: 寒さにより血行が阻害され、胸部に瘀血が生じる
  • 外傷や慢性疾患: 長引く病気や加齢による血流の停滞

主な症状

  • 胸の刺すような痛み(固定性で場所がはっきりしている)
  • 胸部圧迫感、動悸
  • 不安、不眠、精神的な落ち着きのなさ
  • 顔色が暗い、唇が紫色っぽい

舌・脈の所見

  • 舌: 暗紫色、瘀斑や瘀点あり
  • 脈: 渋脈(ちぶみゃく=細く引っかかるよう)、または結代脈

代表的な方剤

  • 血府逐瘀湯(けっぷちくおとう): 胸の瘀血を取り除き、血行を改善。
  • 丹参飲(たんじんいん): 胸痛や動悸に用いられる。
  • 冠心二号方: 心血瘀阻による狭心痛などに応用。

養生の考え方

  • 冷えを避け、体を温めて血行を促す
  • 適度な有酸素運動で循環を改善する
  • ストレスを溜めず、気滞を防ぐ
  • 黒豆、紅花、玉ねぎ、黒きくらげなど血行を良くする食材を取り入れる

まとめ

心血瘀阻とは、心の血流が滞り、胸の痛みや精神不安を生じる病態です。
舌の暗紫色や瘀点が特徴で、血府逐瘀湯や丹参飲などで治療します。
冷えやストレスを避け、血の流れを良くする養生も重要です。

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