四気五味とは

「四気五味(しきごみ)」 とは、東洋医学において生薬の性質を表す基本的な分類法です。
生薬の「寒・熱」などの性質を 四気 で、「酸・苦」などの味を 五味 で表し、その働きを理解する手がかりとします。


四気(しき)とは

生薬が体に与える「温冷」の性質を示します。

  • 寒: 熱を冷ます(例:石膏、黄連)
  • 涼: 穏やかに冷ます(例:菊花、竹葉)
  • 温: 冷えを温める(例:桂枝、乾姜)
  • 熱: 強く温める(例:附子、肉桂)

※中庸でどちらにも偏らない薬性を「平」と呼ぶこともあります(例:人参、白朮)。


五味(ごみ)とは

生薬の味と、それに対応する薬効を表します。

  • 酸(さん): 収斂・固渋(体液や精気を漏れにくくする)
    例:五味子、山茱萸
  • 苦(く): 瀉下・清熱・乾燥
    例:黄連、黄柏
  • 甘(かん): 補益・調和・緩和
    例:人参、大棗、甘草
  • 辛(しん): 発散・行気・活血
    例:生姜、紫蘇葉
  • 鹹(かん/塩辛い): 軟堅・瀉下・潤下
    例:昆布、牡蠣

四気五味の応用

生薬を理解する際には、四気五味を総合的に判断します。
例えば、
・黄連は「寒・苦」で、熱を冷まし、炎症を鎮める
・桂枝は「温・辛甘」で、体を温めて発汗させる
といったように、それぞれの性質が臨床での使い分けに直結します。


まとめ

「四気五味」とは、生薬の性質を寒熱(四気)と味(五味)で表す東洋医学の基本概念です。
これを理解することで、方剤の構成や生薬の使い分けがより深く理解できるようになります。

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