方剤とは

「方剤(ほうざい)」 とは、東洋医学において複数の生薬を組み合わせて処方した薬のことを指します。
病証に応じた治法を具体的に実現する手段であり、弁証論治の最終的なアウトプットともいえます。


方剤の特徴

  • 単一の生薬ではなく、複数の生薬を組み合わせることで相互作用を活かす
  • 患者の体質・病状に合わせて柔軟に加減できる
  • 治法(補法・瀉法・温法・清法など)を実際に形にしたもの

方剤の構成原則「君臣佐使」

方剤は役割に応じて生薬が配置されます。

  • 君薬(くんやく): 主となる病因・病証を直接治す薬
  • 臣薬(しんやく): 君薬を助けたり、病証を補助的に治す薬
  • 佐薬(さやく): 臣薬を補助し、副作用を抑える薬
  • 使薬(しやく): 全体を調和させ、薬効を目的部位へ導く薬

このように、方剤は単なる生薬の寄せ集めではなく、役割分担を持った「チーム」として設計されています。


方剤の分類

方剤は目的や治法に応じて様々なグループに分けられます。

  • 発汗剤(例:葛根湯、麻黄湯)
  • 清熱剤(例:白虎湯、黄連解毒湯)
  • 補益剤(例:四君子湯、八珍湯)
  • 理気剤(例:半夏厚朴湯)
  • 活血化瘀剤(例:桃核承気湯)
  • 化痰止咳平喘剤(例:二陳湯)
  • 利水滲湿剤(例:五苓散)
  • 安神剤(例:酸棗仁湯)

まとめ

「方剤」とは、治法を実現するために設計された生薬の組み合わせです。
君臣佐使の役割分担を持ち、病証に応じて使い分けられます。
臨床においては、患者の体質や症状に合わせて加減・応用する柔軟性が重視されます。

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