胆虚寒(たんきょかん) とは、胆の機能が低下し、さらに陽気が不足して寒の性質が優勢となった状態を指します。
胆は「決断」をつかさどる臓腑であり、その虚寒により気力や決断力が低下し、臆病・不安・優柔不断といった精神的な症状や、消化器系の不調が現れます。
原因
- 先天的な体質: 胆がもともと虚弱で、決断力が乏しい傾向。
- 慢性病や虚弱: 長期の病気や体力低下により胆気が不足する。
- 寒邪の影響: 陽気が弱まり、胆の働きが低下して寒象が現れる。
- 精神的要因: 恐れや不安が続き、胆の気を損なう。
主な症状
- 臆病、決断力の低下、優柔不断
- 不安感、驚きやすい、気力が出ない
- 不眠または多夢
- めまい、耳鳴り
- 胸脇の不快感、消化不良
- 寒がり、手足の冷え
舌・脈の所見
- 舌: 淡胖、苔は白
- 脈: 沈遅、細弱
代表的な方剤
- 温胆湯(うんたんとう): 胆虚による不眠・不安・驚きやすさを改善する。
- 安神定志丸(あんじんていしまる): 胆気虚による心神不安・驚きやすさに用いる。
- 小建中湯(しょうけんちゅうとう): 虚寒体質を補い、寒による不調を改善する場合に併用される。
養生の考え方
- 恐れや不安を避け、心を安定させる生活を心がける
- 冷えを防ぎ、体を温める(生姜、ねぎ、シナモンなどを取り入れる)
- 無理のない範囲で体を動かし、気血の巡りを良くする
- 自信を養う習慣(小さな成功体験を積む、リラックス法を取り入れる)
まとめ
胆虚寒とは、胆の気が不足し、さらに寒の性質が優勢となることで、精神的な臆病さや不安、不眠、寒がりなどを伴う病態です。
補益胆気と温陽を基本とした調整、そして精神の安定を図る養生が大切です。
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