下焦血虚(かしょうけっきょ) とは、血の不足が下焦(子宮・膀胱・大腸・腎など)に及び、生殖器や排泄機能が滋養されず、虚弱な症状を呈する病態です。
血虚は滋養機能の不足を意味するため、月経異常・不妊・便秘・尿の異常などが見られます。
原因
- 久病・慢性消耗: 長期の病気や消耗により血が不足する。
- 飲食不節: 栄養不足や脾胃虚弱により血の生成が乏しくなる。
- 多産・房事過多: 血や精の損耗によって下焦の滋養が足りなくなる。
- 失血: 月経過多・分娩・外傷出血などによって血虚が進む。
主な症状
- 月経量が少ない、または閉経
- 不妊、流産しやすい
- 下腹部の空虚感や違和感
- 便秘(腸が潤いを失うため)
- 小便頻数または無力性の排尿
- めまい、顔色蒼白、爪が割れやすい
- 眠りが浅く夢をよく見る
舌・脈の所見
- 舌: 淡、苔は少または無苔
- 脈: 細弱
代表的な方剤
- 四物湯(しもつとう): 血虚を基本的に補う処方。
- 帰脾湯(きひとう): 脾虚を伴い、思慮過多・健忘・不眠を兼ねる場合に用いる。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん): 婦人科の血虚と水滞を兼ねる場合に適する。
養生の考え方
- バランスの良い食事をとり、過度のダイエットを避ける
- 鉄分や血を補う食材(黒ごま、ほうれん草、レバー、なつめ、竜眼肉など)を取り入れる
- 過労を避け、十分な休養をとる
- 情志を安定させ、血の消耗を防ぐ
まとめ
下焦血虚とは、血の不足が下焦に及び、生殖機能や排泄機能が滋養されず、月経異常・不妊・便秘・排尿異常などを引き起こす病態です。
治療・養生の基本は「補血養陰」「調和下焦」であり、血を補い下焦の機能を養うことが重要です。
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