下焦気滞(かしょうきたい) とは、下焦(膀胱・大腸・生殖器系)の気の運行が滞り、排泄機能や生殖機能が阻害される病態です。
気滞は気の巡りを妨げるため、下腹部の脹痛や排尿・排便の異常、生殖器の不快感などが特徴です。
原因
- 情志の不調: 怒り・憂慮・抑うつなどにより肝気が鬱結し、気滞が下焦に及ぶ。
- 飲食不節: 暴飲暴食や不消化により腸に滞りが生じ、気機が阻害される。
- 房事や生活習慣の不調: 生殖器系の異常や不摂生が下焦の気機を妨げる。
- 久病や瘀血の停滞: 長期の疾患や瘀血の存在が気の流れを妨げる。
主な症状
- 下腹部の張りや痛み(按圧で軽減せず、時に移動性)
- 排尿困難や尿意不快感
- 便秘や裏急後重
- 女性では月経前症候群(下腹部張痛、乳房脹痛)
- 男性では精巣部の張りや痛み
- 情緒不安定、イライラ
舌・脈の所見
- 舌: 舌質はやや暗紅、苔は薄白または薄黄
- 脈: 弦
代表的な方剤
- 柴胡疏肝散(さいこそかんさん): 肝気鬱結による気滞を疏解する。
- 六磨湯(りくまとう): 下焦気滞による便秘に用いる。
- 逍遙散(しょうようさん): 肝気鬱結と脾虚を兼ねる場合に適する。
養生の考え方
- ストレスを溜めず、気の巡りを整える生活を心がける
- 軽い運動やストレッチで気滞を解消する
- 消化に良い食事を心がけ、過食を避ける
- 温めて巡りを助ける食材(陳皮、しそ、生姜など)を取り入れる
まとめ
下焦気滞とは、気機の流れが下焦で停滞し、下腹部の脹痛や排尿・排便の異常、月経・生殖機能の障害などを引き起こす病態です。
治療・養生の基本は「疏肝理気」「調和下焦」であり、気の流れを円滑にする生活習慣が重要です。
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