大腸虚秘(だいちょうきょひ) とは、大腸の伝導機能が虚弱し、便を送り出す力や潤す力が不足することで起こる便秘の病態です。
便意はあっても力が足りず排便困難であったり、便が乾燥して硬くなるなど、「虚証」に属する慢性的な便秘が特徴です。
原因
- 気虚: 脾胃や肺気が不足し、大腸の伝導機能が低下。
- 血虚・陰虚: 津液や血が不足して腸が潤わず、便が乾燥する。
- 老化: 高齢になると気血津液が減少し、自然と大腸虚秘になりやすい。
- 慢性病後: 長期の病気や消耗により、気血が不足し腸が虚する。
主な症状
- 便秘(便意があっても力が弱く、出にくい)
- 便が乾燥して硬い、または兎糞状の便
- 排便後もすっきりしない
- 倦怠感、息切れ、めまい
- 顔色が白っぽい、または萎黄
- 口乾、肌や髪の乾燥
- 高齢者や産後によくみられる
舌・脈の所見
- 舌: 舌質淡または紅、苔少または無苔
- 脈: 細弱、虚数
代表的な方剤
- 麻子仁丸(ましにんがん): 血虚・津液不足による便秘を潤腸通便する。
- 黄耆湯(おうぎとう): 気虚による便秘で、排便時に力が入らない場合に用いる。
- 増液承気湯(ぞうえきじょうきとう): 陰液不足で便が極めて乾燥・硬結した場合に適する。
養生の考え方
- 水分をしっかりとる(冷たい水よりも温かいもの)
- ごま、はちみつ、ナッツ、白きくらげなど潤腸作用のある食材を取り入れる
- 十分な睡眠と休養をとり、気血を養う
- 過度の疲労や緊張を避け、適度な運動で腸の働きを助ける
まとめ
大腸虚秘とは、大腸の伝導機能が虚弱して便を送り出せず、便が乾燥・硬結して排出困難となる「虚証の便秘」です。
治療・養生の基本は「益気養血」「滋陰潤腸」であり、体力の回復と腸の潤いを保つことが重要です。
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