臓腑弁証とは

「臓腑弁証(ぞうふべんしょう)」 とは、東洋医学において、五臓六腑の働きや失調をもとに病証を分析・判断する方法です。
八綱弁証が病の性質を大まかに把握するのに対し、臓腑弁証はより具体的に「どの臓腑に問題があるのか」を明らかにします。


臓腑弁証の特徴

  • 五臓(肝・心・脾・肺・腎)の機能失調を中心に分析する
  • 六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)との関わりも考慮する
  • 臓腑が生み出す 気・血・津液 の変化として症状をとらえる

臓腑ごとの弁証例

  • :気滞による胸脇の張り、怒りっぽさ、月経不順
  • :心火旺盛による不眠・動悸・舌尖の赤み
  • :気虚による食欲不振、下痢、倦怠感
  • :肺気虚による咳、息切れ、風邪をひきやすい
  • :腎精不足による耳鳴り、腰膝のだるさ、不妊

臓腑弁証の診断方法

脈診・舌診・問診などを通じて、症状を臓腑の機能失調に関連づけて判断します。
例えば、動悸・不眠・舌尖の赤み・脈が速い → 「心火旺盛」と診断する、といった流れです。


臨床的意義

  • 臓腑のどこに問題があるかを明確にできる
  • 治療のターゲットが具体化し、方薬や鍼灸の選択に直結する
  • 八綱弁証や気血津液弁証と組み合わせて使うことで診断の精度が上がる

まとめ

「臓腑弁証」とは、五臓六腑の働きと失調に基づいて病証を判断する方法です。
八綱弁証が大枠の分析であるのに対し、臓腑弁証は具体的に「どの臓腑に不調があるのか」を突き止める重要な診断法といえます。

0 件のコメント:

コメントを投稿