「虚実(きょじつ)」 とは、東洋医学で病の性質や体の状態を判断する際に用いられる基本概念のひとつです。
病気が「体の正気の不足によるものか(虚)」、あるいは「邪気の盛んさによるものか(実)」を区別するために使われます。
虚とは
虚とは、体を守り支える 正気(生命力)や臓腑の働きが不足した状態 を指します。
虚の特徴には次のようなものがあります。
- 体力がない、疲れやすい
- 顔色が白っぽい、声が弱い
- 脈が弱い、細い
- 慢性的にじわじわ悪化する症状が多い
実とは
実とは、体の中に 邪気が盛んに存在し、余分なものが滞っている状態 を指します。
実の特徴には次のようなものがあります。
- 体に張り感や圧迫感がある
- 怒りやすい、イライラしやすい
- 脈が力強い
- 痛みや症状が強く、比較的急に現れる
虚実の見分け方
虚実は、脈診・舌診・問診などを通じて総合的に判断されます。
例えば、弱々しい脈・倦怠感が目立つなら「虚証」、逆に力強い脈・張りのある症状なら「実証」とされます。
虚実の臨床的意義
- 治療方針を決める基準:虚証では補う治療(補法)、実証では取り除く治療(瀉法)が基本。
- 証の決定に不可欠:虚実は陰陽・寒熱と並んで重要な弁証の柱となる。
まとめ
「虚実」とは、東洋医学における体の状態の大きな分類であり、
虚=正気不足、実=邪気過剰として理解されます。
診断や治療方針を定める上で欠かせない重要な視点です。
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