「三焦弁証(さんしょうべんしょう)」 とは、東洋医学において病邪の所在を 上焦・中焦・下焦 に分けて分析する方法です。
特に温病学で発展し、病邪が体内のどの部位(焦)にあるかを明確にすることで、治療方針を立てやすくします。
三焦とは
- 上焦:心と肺に相当し、胸部より上。
呼吸や血液循環に関わる。 - 中焦:脾と胃に相当し、横隔膜から臍のあたり。
飲食物の消化・吸収をつかさどる。 - 下焦:肝・腎・膀胱など下腹部。
水分代謝・生殖・排泄に関わる。
三焦弁証の内容
- 上焦の病変:発熱、悪寒、咽喉痛、咳嗽、息苦しさ
- 中焦の病変:高熱、口渇、腹満、便秘、吐き気
- 下焦の病変:腰や下肢の重だるさ、小便不利、下痢、意識障害
診断の流れ
舌・脈・症状の分布を見て、邪がどの焦にあるかを判断します。
例:咽喉痛・咳・発熱 → 上焦。
高熱・口渇・腹部症状 → 中焦。
排尿異常や意識混濁 → 下焦。
臨床的意義
- 病邪の位置を「焦」のレベルで把握できる
- 治療方針(宣肺解表・清中泄熱・滋陰利水など)が明確になる
- 衛気営血弁証とあわせて病邪の深さと広がりを総合的に判断できる
まとめ
「三焦弁証」とは、病邪の位置を上焦・中焦・下焦に分けて分析する方法です。
温病学において、発症部位に応じた治療方針を立てるための重要な弁証法といえます。
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