膀胱血虚とは

膀胱血虚(ぼうこうけっきょ) とは、膀胱を滋養する血が不足することによって、膀胱の機能が低下し、排尿異常や虚弱症状を呈する病態です。
血虚により膀胱の気化作用や固摂作用が十分に働かず、頻尿や尿失禁、尿の切れの悪さなどが見られます。


原因

  • 慢性疾患・大病後: 長引く病気や消耗により血が不足する。
  • 加齢: 老化によって血が衰え、膀胱の滋養が弱まる。
  • 脾胃虚弱: 飲食不摂や消化吸収力の低下により、血の生成が不足する。
  • 出血・失血: 多量の出血や慢性的な失血により血虚となる。

主な症状

  • 尿の切れが悪い、尿勢が弱い
  • 頻尿、尿失禁
  • 夜間尿が多い
  • 顔色が蒼白、めまい、動悸
  • 全身の倦怠感
  • 女性では月経量の減少、経血の色が淡い

舌・脈の所見

  • 舌: 淡、苔薄白
  • 脈: 細弱

代表的な方剤

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう): 気血両虚による頻尿や疲労感に用いる。
  • 帰脾湯(きひとう): 脾虚血少に伴う排尿異常や不眠に適する。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん): 血虚による虚弱体質や泌尿器症状に応用される。

養生の考え方

  • 栄養バランスの取れた食事で血を補う(黒ごま、なつめ、ほうれん草、レバーなど)
  • 過労を避け、十分な休養をとる
  • 冷えを防ぎ、血の巡りをよくする
  • 精神的な緊張や不安を和らげ、気血の消耗を防ぐ

まとめ

膀胱血虚とは、血の不足により膀胱の機能が滋養されず、頻尿・尿失禁・尿勢低下などの排尿異常を伴う病態です。
治療・養生の基本は「補血養心」「健脾益気」であり、食養生や十分な休養を通じて気血を充実させることが大切です。

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