膀胱瘀血(ぼうこうおけつ) とは、膀胱やその周囲に血の滞り(瘀血)が生じ、膀胱の気化作用や排尿機能が障害される病態です。
瘀血は「停滞・刺痛・固定痛」を特徴とするため、下腹部痛や尿の異常に加え、尿に血が混じることがあります。
原因
- 外傷: 下腹部や腰部の打撲・手術後などで瘀血が形成される。
- 慢性炎症: 膀胱炎や泌尿器系の炎症が長引き、瘀血化する。
- 寒邪や湿邪の影響: 気血の巡りが悪くなり、血が停滞して瘀血を生じる。
- 老化や虚弱: 気虚により血行が滞り、瘀血が形成されやすくなる。
主な症状
- 下腹部の刺すような痛み(固定痛)
- 排尿時の痛み、尿道の灼熱感
- 尿の切れが悪い、排尿困難
- 血尿(尿に血が混じる)
- 尿量が少なく、残尿感がある
- 慢性的な腰部や下腹部の鈍痛
舌・脈の所見
- 舌: 紫暗または瘀点・瘀斑がある
- 脈: 弦または渋
代表的な方剤
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう): 瘀血を去り、下腹部の疼痛や排尿障害に用いる。
- 抵当湯(ていとうとう): 強い瘀血による血尿や下腹部痛に適する。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん): 慢性の瘀血に伴う排尿障害や下腹部痛に用いられる。
養生の考え方
- 冷えを避け、下腹部を温めて血行を促進する
- 適度な運動やストレッチで気血の巡りを改善する
- 血行を助ける食材(黒豆、紅花、にんにく、玉ねぎ、黒きくらげなど)を取り入れる
- 長時間の座位や不動を避け、瘀血をためない生活を心がける
まとめ
膀胱瘀血とは、血の滞りが膀胱に及び、下腹部痛・排尿困難・血尿などを引き起こす病態です。
治療・養生の基本は「活血化瘀」「行気止痛」であり、冷えの改善や血流促進を意識することが大切です。
0 件のコメント:
コメントを投稿