五臓のひとつである 「脾(ひ)」 は、飲食物から気や血を生み出し、全身へ運ぶ働きを担う重要な臓です。
脾とは何か
東洋医学における脾は、西洋医学の脾臓と同一ではありません。主に消化吸収や栄養の運搬を司る機能を指し、現代医学でいう消化器系(胃・膵臓・小腸など)の役割を含む広い概念です。
脾の主な働き
- 運化作用:食べ物や飲み物から気・血・津液を作り出す
- 統血作用:血が脈外に漏れないようにコントロールする
- 筋肉をつかさどる:手足や四肢の力に関わる
- 口に開竅する:味覚や唇の色は脾の状態を反映する
- 唇にあらわれる:血色の良い唇は脾の健やかさを示す
脾と感情
脾は「思」と関わりが深いとされます。考えすぎや心配が続くと脾を傷つけ、逆に脾の不調が過度な思慮や不安を引き起こすこともあります。
脾の不調
- 脾気虚(ひききょ):消化吸収の力が弱まる → 倦怠感、食欲不振、下痢、顔色が悪い
- 脾陽虚(ひようきょ):温める力が不足 → 冷え、むくみ、軟便
- 脾不統血(ひふとうけつ):血を抑える力が弱まる → あざができやすい、出血しやすい
まとめ
「脾」とは、飲食物から生命活動の基盤である気や血を生み出す中心的な臓です。
その働きが弱まると、全身の栄養不足や消化器症状につながると考えられます。
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