概要
胆は、肝の補佐役として、肝が生み出した胆汁を貯え、消化を助け、決断力を司るといわれます。
その経脈である胆経は、体の側面をジグザグに走る最長経絡で、頭・首・肩・胸脇・腰・脚外側・足先までをつなぎます。
経絡の流れ
- 起点: 目の外側(瞳子髎:GB1)
- 流れ:
→ 側頭部 → 耳の周囲 → 首 → 肩 → 胸脇部 → 腰 →
→ 臀部 → 大腿外側 → 下腿外側 → 足の甲 →
→ 足の小指外側(足竅陰:GB44) - 分枝:
耳の後ろから内側に入り、肝・胆に通じ、胸・横隔膜・腎・膀胱と連絡。
経穴(けいけつ)一覧(代表的なもの)
番号 | 経穴名 | 読み | 主な位置 | 主な効能 |
---|---|---|---|---|
GB1 | 瞳子髎 | どうしりょう | 目尻外側のくぼみ | 目の疲れ・偏頭痛 |
GB2 | 聴会 | ちょうえ | 耳前のくぼみ | 耳鳴り・顎関節症 |
GB8 | 率谷 | そっこく | こめかみ上部 | 偏頭痛・めまい |
GB12 | 完骨 | かんこつ | 耳の後ろのくぼみ | 首こり・めまい |
GB20 | 風池 | ふうち | 後頭部のくぼみ | 頭痛・肩こり・自律神経 |
GB21 | 肩井 | けんせい | 肩の中央部 | 肩こり・頭痛・乳腺炎 |
GB24 | 日月 | じつげつ | 第7肋間、乳頭の下方 | 胆・肝の調整・胸脇痛 |
GB30 | 環跳 | かんちょう | 臀部中央 | 坐骨神経痛・腰痛 |
GB34 | 陽陵泉 | ようりょうせん | 膝外側の下 | 筋肉のけいれん・脚のだるさ |
GB37 | 光明 | こうめい | すね外側 | 目の疲れ・ふくらはぎの張り |
GB39 | 懸鐘 | けんしょう | 外くるぶし上3寸 | 首こり・骨の強化 |
GB40 | 丘墟 | きゅうきょ | 外くるぶし前下方 | 足関節痛・気の流れ |
GB41 | 足臨泣 | あしりんきゅう | 足の小指と薬指の間 | 偏頭痛・肋間神経痛 |
GB44 | 足竅陰 | あしきょういん | 小指外側の爪際 | 頭痛・めまい・不眠 |
関連臓腑
- 所属: 胆
- 表裏関係: 足の厥陰肝経
- 五行: 木
- 感情: 怒(いかり)・決断
- 季節: 春
- 体の部位: 側頭・目・肩・脇・腰・脚外側
主な症状・異常
- 偏頭痛・側頭部の痛み・こめかみのズキズキ
- めまい・耳鳴り・肩こり・首こり
- わき腹の張り・胸のつかえ
- 坐骨神経痛・股関節痛・脚外側のだるさ
- 神経過敏・決断力低下・イライラ・不眠
- 胆のうや消化機能のトラブル
養生のポイント
- ストレスをためず、「怒り」をうまく発散する
- 決断を先延ばしにせず、思考を整理する
- 脇を伸ばすストレッチ(側屈運動)が◎
- 緑の食材(春野菜・ハーブ)で肝胆をサポート
- 睡眠をしっかりとり、肝胆を休ませる
象徴的な経穴①:風池(ふうち)
- 位置: 後頭部、首の付け根両側のくぼみ
- 効能: 頭痛・めまい・風邪・目の疲れ
- 特徴: 「風邪(ふうじゃ)」を取り除く要穴。自律神経・血流を整え、全身の“風の巡り”を鎮める。
象徴的な経穴②:陽陵泉(ようりょうせん)
- 位置: 膝の外側、腓骨頭の下のくぼみ
- 効能: 筋肉のけいれん・脚の疲れ・胆の不調
- 特徴: 「筋の会」―全身の筋肉の調整に関わる重要穴。
象徴的な経穴③:足臨泣(あしりんきゅう)
- 位置: 足の薬指と小指の間の水かきの後方
- 効能: 偏頭痛・肋間神経痛・月経前の不快感
- 特徴: 「八脈交会穴」で、全身の側面の気の流れを通す。感情の詰まりにも有効。
一言まとめ
「胆経」は“決断と勇気の経脈”。
体の側面をめぐり、ストレスや緊張を解放し、肝胆の働きを助ける。
偏頭痛・肩こり・脇の張りなど、“ストレスライン”のケアに最適。
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