通絡鎮痛とは

■ 概念

通絡鎮痛とは、経絡の流れを通じさせ（通絡）、その結果として疼痛を緩和・消失させる（鎮痛）治法です。
経絡の気血運行が阻滞すると、痛み、しびれ、こわばり、麻痺感、運動制限などが現れます。
本治法は、経絡を疏通し、瘀血・痰湿・寒湿・風邪などにより阻滞した気血を再び循行させることで痛みを軽減します。

■ 目的

• 経絡の流れを改善し気血の通りを回復する
• 疼痛の緩和・消失
• 痺れ・麻痺・拘縮・運動障害の改善
• 寒・湿・瘀血・痰湿による阻滞病変の除去

■ 適応

• 関節痛・筋肉痛・神経痛
• リウマチ性疼痛・痛風・変形性関節症
• 坐骨神経痛・ヘルニアによる神経圧迫痛
• 外傷後の瘀血性疼痛
• 痺証（しびれ・脱力・麻痺・重だるさ）
• 落枕・肩こり・拘縮・こわばり

■ 使用される代表的な薬物

• 桂枝（けいし）
• 羌活（きょうかつ）
• 独活（どっかつ）
• 当帰（とうき）
• 赤芍（せきしゃく）
• 乳香（にゅうこう）・没薬（もつやく）
• 川芎（せんきゅう）
• 伸筋草・防己・五加皮 など

■ 備考

通絡鎮痛は、痛みの病因が経絡阻滞による「不通則痛」にある場合に重要となる治法です。
寒が主体なら温経通絡、湿が強い場合は祛湿通絡、瘀血が主体なら活血化瘀などを組み合わせ、病因に応じて治療法を調整します。
慢性疼痛・神経痛・リハビリ領域にも応用され、気血循環改善と鎮痛のバランスが特徴です。