潤燥・動態・局所所見の意義
舌診における潤燥・動態・局所所見は、舌質や舌苔だけでは把握しにくい津液の状態、気血の動き、臓腑ごとの偏りを補足的に示す重要な情報である。
これらの所見は比較的変化しやすく、急性変化・病勢の動揺・精神状態の影響を反映しやすい。
潤燥(舌の潤い)
舌の潤いは、津液の充足度と熱の影響を判断する指標である。
舌面に自然な光沢があり、乾燥感のない状態。
- 示唆:津液充足、胃気尚存
- 臨床的意義:回復期・軽証に多い
② 乾燥
舌面が乾き、光沢が乏しい状態。
- 主な病機:津液不足、熱傷
- 関連治法:養陰、清熱、生津
③ 滑潤
過度に湿潤で、水分が多く見える状態。
- 主な病機:陽虚、水湿内停
- 関連治法:温陽、利水
舌の動態
舌の動きや安定性は、気血の運行状態や内風の有無を示す。
舌を出した際に細かく震える状態。
- 主な病機:気虚、血虚、内風
- 臨床的意義:虚証に多い
② 舌強・舌硬
舌の動きが悪く、こわばった状態。
- 主な病機:内風、痰熱閉阻
- 注意:中風など重篤例を疑う
③ 舌偏
舌を出すと一側に偏る。
- 主な病機:風痰、経絡阻滞
- 注意:中枢・末梢障害の可能性
局所所見
舌の部位ごとの変化は、特定の臓腑の熱・虚・鬱を反映する。
① 舌尖紅舌の先端が赤くなる。
- 関連臓腑:心、肺
- 主な病機:心火、上焦熱
- 関連治法:清心瀉火
② 舌辺紅
舌の側縁が赤くなる。
- 関連臓腑:肝、胆
- 主な病機:肝火、肝鬱化火
- 関連治法:清肝瀉火、疏肝
③ 舌中裂
舌の中央部に裂紋がみられる。
- 関連臓腑:脾、胃
- 主な病機:胃陰虚、津液損傷
④ 舌下静脈怒張
舌裏の静脈が怒張する。
- 主な病機:瘀血
- 関連治法:活血化瘀
舌診を総合的に読む視点
潤燥・動態・局所所見は、舌質・舌苔と組み合わせて読むことで診断精度が高まる。
例えば、紅舌・少苔・乾燥・舌尖紅がそろえば心陰虚火旺が示唆される。
病機・治法とのつながり
これらの補助所見は、治法の微調整や経過観察において重要である。
本ブログでは、各病機・証における舌診所見を統合し、臨床的思考過程を明示していく。
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