舌診 各論②:舌苔(色・厚薄・膩・剥苔)

舌苔とは

舌苔(ぜったい)とは、舌質の表面を覆う苔状物であり、胃気の盛衰と病邪の性質・深さ・進退を反映する重要な所見である。
舌質が体内の比較的本質的・慢性的状態を示すのに対し、舌苔は病勢の変化や邪正の消長を捉えやすい。


舌苔を診る基本的な視点

  • :寒熱の判断
  • 厚薄:邪気の盛衰・病位の深浅
  • 質(膩・腐):痰湿・食積の有無
  • 剥落の有無:胃気・胃陰の状態

舌苔の色

① 白苔

舌苔が白色を呈する状態。

  • 主な病機:寒証、表証
  • 特徴:薄白苔は正常範囲
  • 関連治法:散寒、解表、温中

② 黄苔

舌苔が黄色を帯びる状態。

  • 主な病機:熱証、裏証
  • 特徴:濃黄は熱が強い
  • 関連治法:清熱、瀉火

③ 灰黒苔

灰色から黒色を呈する舌苔。

  • 主な病機:熱極、寒極
  • 注意:全身状態の重篤化を示すことが多い

舌苔の厚薄

① 薄苔

舌質が透けて見える程度の苔。

  • 示唆:邪気軽、正気尚存
  • 臨床的意義:表証初期、回復期

② 厚苔

舌質が見えにくいほど苔が厚い状態。

  • 主な病機:邪気実、病勢進行
  • 関連治法:祛邪、消導

舌苔の質(膩・腐)

① 膩苔

苔がねっとりと舌に付着し、拭いにくい状態。

  • 主な病機:痰湿、湿熱、食積
  • 関連治法:燥湿、化痰、消食

② 腐苔

苔が厚く、豆腐かす状に見える状態。

  • 主な病機:胃熱、食積化熱
  • 注意:実熱が強い場合が多い

舌苔の剥落

① 少苔・無苔

舌苔が少ない、またはほとんど認められない状態。

  • 主な病機:胃陰虚、津液不足
  • 関連治法:養陰、益胃

② 剥苔

舌苔が部分的に剥がれ、地図状に見える。

  • 主な病機:胃気・胃陰の損傷
  • 注意:慢性疾患や虚証に多い

舌苔を読む際のポイント

舌苔は病勢の変化を鋭敏に反映するため、経時的な観察が重要である。
同じ色でも厚薄や膩の有無によって病機は大きく異なるため、単一所見で判断しないことが肝要である。


舌質との総合判断

舌苔は舌質と合わせて読むことで、邪正関係と治療方針がより明確になる。
例えば、淡白舌+白膩苔は脾陽虚湿盛、紅舌+黄厚苔は実熱証を示唆する。


病機・治法との関係

舌苔の所見は、治法選択と治療経過の評価に直結する。
本ブログでは今後、各病機・証における典型的な舌苔像を整理し、診断から治法決定までの思考過程を示していく。

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