醒神安脳とは

概念

醒神安脳(せいしんあんのう)とは、閉塞・蒙蔽された神志を覚醒させ(醒神)、脳の機能を安定・回復させる治法である。
中医学では、脳は「元神の府」とされ、精神活動・意識・認知・運動統御に深く関与する。
風・火・痰・瘀などの病邪が清竅や脳絡を阻滞すると、意識障害・認知低下・言語障害・運動障害などが生じるため、醒神安脳が用いられる。


病機との関係

醒神安脳が対象とする主な病機には、以下が含まれる。
痰蒙清竅(痰濁による神志蒙閉)
瘀血阻絡(血瘀による脳絡閉塞)
肝風内動(風による意識・運動障害)
火熱擾神(実熱・虚熱による神志攪乱)
腎精不足(脳髄失養による認知低下)


主な適応病証

醒神安脳は、以下のような症状・病証に適応される。
・意識障害、昏迷、失神後の回復期
・脳血管障害後遺症(片麻痺、言語障害)
・記憶力低下、認知機能低下
・めまい、頭重感、集中力低下
・外傷後や慢性疾患に伴う脳機能低下


治療原則・配穴配方の考え方

醒神安脳では、病邪を除去しつつ、神志と脳髄を養うことが重要となる。
・痰濁が主体の場合は化痰開竅を行う
・瘀血がある場合は活血通絡を併用する
・風や火が関与する場合は熄風清熱を加える
・虚証では補腎益精・益気養血を重視する
鍼灸では、百会・四神聡・神庭・内関などを中心に、清竅の疏通と神志の安定を図る。


代表的な方剤・治法例

病態に応じて、以下の方剤が用いられる。
安宮牛黄丸:熱閉心包・意識障害
至宝丹:痰濁蒙閉・神志障害
通竅活血湯:瘀血阻絡・頭部症状
補陽還五湯:中風後遺症・気虚血瘀
六味地黄丸(加減):腎精不足・脳髄失養


関連する治法・概念

醒神安脳は、以下の治法・概念と密接に関連する。
・開竅醒神
・化痰開竅
・活血通絡
・熄風止痙
・補腎益精


まとめ

醒神安脳は、意識・認知・運動機能の回復を目的とする中医学的治法であり、急性期から回復期・慢性期まで幅広く応用される。
病邪の性質と虚実を的確に把握し、醒・通・養を適切に組み合わせることが、治療効果を高める鍵となる。

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