五方(東・南・中央・西・北)とは
五方(ごほう)とは、東・南・中央・西・北の五つの方向を、五行の運動を空間と時間に当てはめた概念である。
単なる方位区分ではなく、自然界のエネルギーの流れと盛衰を表した座標であり、人体の生理・病理を理解するための基礎となる。
五方は「地理」ではなく「変化の流れ」
五方を理解する鍵は、太陽の動きと季節の変化である。
東洋医学では、
- 日の出から始まり
- 高まり
- 成熟し
- 収まり
- 蓄えられる
という一連の流れを、空間(方角)として表現している。
各方位の意味と五行的解釈
東(木)
- 太陽が昇る方向
- 始まり・発生・成長
- 下から上へ、内から外へ
⇒ 春の到来、芽吹きの方向。
⇒ 五行では木に対応。
人体では、気が伸び、巡り始める段階を象徴する。
南(火)
- 太陽が最も高くなる方向
- 熱・活動・発散の極み
- 外向き・上昇
⇒ 夏、生命活動のピーク。
⇒ 五行では火に対応。
人体では、活動性・興奮・循環の最盛期を示す。
中央(土)
- 四方をつなぐ中心
- 生成・調整・受容
- 安定・土台
⇒ 季節の変わり目(長夏)を含意。
⇒ 五行では土に対応。
人体では、飲食物を受け入れ、変化させ、全身に配る働きを象徴する。
西(金)
- 太陽が沈む方向
- 収斂・整理・粛降
- 終わりへ向かう動き
⇒ 秋、実りと収穫、落葉。
⇒ 五行では金に対応。
人体では、不要なものを排し、形を整える段階を示す。
北(水)
- 太陽の力が最も弱い方向
- 寒・静・蓄蔵
- 内向き・下降
⇒ 冬、生命が内にこもる時期。
⇒ 五行では水に対応。
人体では、エネルギーを蓄え、次の成長に備える状態を表す。
五方は「時間の流れ」でもある
五方は、1日の流れ・1年の流れ・一生の流れにも重ねられる。
- 東 → 朝/春/誕生・成長期
- 南 → 昼/夏/活動期
- 中央 → 移行期/調整期
- 西 → 夕/秋/成熟・収束期
- 北 → 夜/冬/休止・蓄積期
⇒ 方角=エネルギーの段階。
人体への応用的な考え方
五方の視点を持つと、
- 症状が「始まりの不調」なのか
- 「ピークの過剰」なのか
- 「収まりきらない」状態なのか
- 「蓄えが足りない」のか
といった位置づけが可能になる。
これは、「どの臓腑か」以前に、今どの段階の問題なのかを考えるための視点である。
五方と五行の対応まとめ(理解用)
| 方位 | 五行 | 本質的意味 |
|---|---|---|
| 東 | 木 | 始まり・伸び |
| 南 | 火 | 最盛・発散 |
| 中央 | 土 | 調整・育成 |
| 西 | 金 | 収斂・整理 |
| 北 | 水 | 蓄蔵・静 |
※これは暗記用ではなく、理解の結果として自然に出てくる対応。
まとめ(五方の一文定義)
五方とは、五行の変化と循環を、太陽・季節・生命活動の流れとして空間化した概念である。
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