燥邪傷肺(そうじゃしょうはい)とは、外界の燥邪が肺を侵し、津液を損傷して肺の潤いが失われることで、乾燥症状を主体とする病機を指します。
肺は「嬌臓」とも呼ばれ、乾燥を嫌い潤いを好む臓であるため、燥邪の影響を最も受けやすい特徴があります。
燥邪には温燥(秋初のやや熱を帯びた燥)と涼燥(寒を帯びた燥)があり、それぞれ症状の現れ方に違いがあります。
いずれも肺の宣発・粛降機能を障害し、津液の散布が低下することで、乾燥症状が顕著に現れます。
主な原因としては、次のようなものがあります。
- 乾燥した気候(秋燥)
- 長時間の乾燥環境(空調など)
- 燥邪の外感
- 津液不足の体質
主な症状としては、次のようなものがみられます。
- 乾咳(痰が少ない、または粘稠)
- 咽喉の乾燥・痛み
- 口渇
- 鼻や皮膚の乾燥
- 声のかすれ
- 痰に血が混じることもある
温燥と涼燥では、次のような違いがあります。
- 温燥:発熱・口渇・やや黄痰
- 涼燥:悪寒・無汗・白痰
舌脈の特徴としては、次のような所見がみられることが多いです。
- 舌質紅(温燥)または舌質正常〜淡(涼燥)
- 舌苔薄少または乾燥
- 脈細数(温燥)または脈浮(涼燥)
治法としては、燥を潤し肺を保護することを目的として、次のような方法が用いられます。
代表的な関連病証としては、次のようなものがあります。
このように燥邪傷肺は、外燥が肺を侵し津液を損傷することで、乾燥症状を主体とする病機です。
そのため治療では、単に咳を止めるのではなく、肺を潤し津液を回復させることが重要とされます。
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