燥熱(そうねつ) とは、東洋医学における病理概念のひとつで、「燥邪」と「熱邪」が同時に体に影響した状態を指します。
燥の「乾かす性質」と、熱の「上昇・亢進させる性質」が合わさるため、体の津液が損なわれやすく、乾燥と炎症性の症状が同時に現れるのが特徴です。
燥熱の原因
- 外因: 秋の乾燥した気候、強い日差しや高温環境。
- 内因: 過剰な辛い物・油っこい物・アルコールの摂取により熱と燥を生む。
- 体質: 陰虚体質の人は津液が不足しやすく、燥熱に傾きやすい。
燥熱の主な症状
- 口や喉の乾燥、乾いた咳
- 皮膚の乾燥・ひび割れ・赤み・かゆみ
- 便秘、尿が濃い
- 熱感、ほてり、いらいら
- 舌は赤く、苔は少ないまたは黄乾、脈は数
燥熱と関連する臓腑
- 肺: 燥熱の影響を最も受けやすく、咳や痰の少ない乾いた咳が出る。
- 胃腸: 燥熱により津液が奪われると便秘や口渇が出やすい。
- 皮膚: 津液不足で乾燥、発赤やかゆみを生じやすい。
燥熱に対する治療の方向性
治療は 清熱潤燥(熱を冷まし乾きを潤す) が基本方針です。
漢方では麦門冬湯・清燥救肺湯などが用いられることがあります。
食養生では、梨・白きくらげ・れんこん・蜂蜜など潤いを与える食材を摂るとよいとされます。
まとめ
燥熱とは、乾燥と熱が同時に体を傷つける病理で、「乾燥+炎症」の症状が特徴的です。
潤いを補いながら熱を冷ますことが、改善と予防の鍵となります。
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