瀉火醒神とは

概念

瀉火醒神（しゃかせいしん）とは、体内の旺盛な火熱を速やかに清瀉し、神志を清醒させる治法である。
熱邪・火毒が内擾し、心神が蒙蔽し意識が混濁すると、譫語、狂躁、昏蒙、神昏などが見られる。
瀉火醒神法は、強い火熱を急速に冷まし、心神を覚醒させ、神志の回復を図ることを目的とする。

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所属

主に清熱瀉火法・開竅醒神法に属し、熱邪上擾・熱入心包・火熱閉阻心竅による神志障害に用いる。

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効能

• 強盛な火熱を迅速に瀉する。
• 心包の熱を清し、神志を開く。
• 譫語・狂躁・昏蒙を改善する。
• 痰熱・火毒による神昏を醒す。
• 意識の清明化・精神機能の回復を促す。

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主治

• 熱入心包：高熱、譫語、煩躁、昏迷、舌絳、脈数。
• 痰熱閉竅：痰鳴、意識障害、昏蒙。
• 火熱擾心：狂躁、多言、発作的興奮。
• 高熱神昏：熱甚く意識が混濁し、躁狂または昏迷。

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病機

熱邪・火熱が内に盛んとなり、心包・心竅を閉阻することで、神志が蒙蔽し、昏迷・狂躁・譫語が出現する。
瀉火醒神法は、迅速な瀉火・清心開竅により、神志の回復と意識の清醒を図る。

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代表方剤

• 安宮牛黄丸（あんきゅうごおうがん）：高熱、譫語、昏迷。
• 至宝丹（しほうたん）：痰熱閉竅、神昏、痰鳴。
• 紫雪丹（しせつたん）：熱厥、狂躁、高熱神昏。
• 黄連解毒湯（おうれんげどくとう）：火毒上炎、煩躁、多言。

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臨床応用

• 高熱で意識が混濁気味。
• 譫語や精神的興奮を伴う熱症。
• 熱中症・感染熱性疾患の意識障害補助療法。
• 痰熱による精神興奮、不穏。
• 急性の意識障害や高熱性神志障害に対する補助治療。

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使用上の注意

• 寒証や虚証では用いない。
• 意識障害を伴う場合は速やかに西洋医学的治療を併用する。
• 陰液損耗が著しい場合は滋陰法と併用。
• 常用ではなく急性の実熱閉竅に適応する。

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まとめ

瀉火醒神法は、強盛な火熱を瀉し、心神を開いて意識を清明にする治法である。
代表方剤は安宮牛黄丸・至宝丹・紫雪丹などで、瀉火・清心・開竅醒神が治療の要点となる。