概念
舒筋利関（じょきんりかん）とは、筋を伸展・弛緩させ、経絡の通りを良くして関節の屈伸障害や筋痙攣・疼痛を改善する治法である。
風寒湿や瘀血、気血の運行不暢によって経絡が阻滞し、筋肉や関節の拘急・疼痛・しびれなどを生じる。
舒筋利関法は、経絡を通じ、筋肉の拘攣を和らげ、関節の可動を回復することを目的とする。
所属
主に通絡法・祛風湿法に属し、風寒湿痺・気血阻滞・筋脈拘急などによる関節疼痛・筋痙攣に用いる。
効能
- 筋肉の拘攣を緩め、疼痛を軽減する。
- 経絡の気血を通じ、しびれやこわばりを改善する。
- 関節の屈伸を円滑にし、運動障害を緩和する。
- 風寒湿を除き、筋脈を温通させる。
- 血行を促進し、筋肉の柔軟性を回復する。
主治
- 風寒湿痺：四肢の関節痛、重だるさ、屈伸不利。
- 筋脈拘急：手足のこわばり、けいれん、攣急疼痛。
- 瘀血阻絡：慢性の筋痛、動作時痛。
- 気血両虚：四肢倦怠、筋肉の緊張低下、麻木。
- 関節不利：屈伸困難、可動制限。
病機
風寒湿邪の侵襲、あるいは気血の運行障害により、経絡の流通が阻まれ、筋脈が拘急して疼痛や屈伸不利を起こす。
また、久病・虚弱によって気血が不足しても、筋が栄養されずに拘攣・麻木を呈する。
舒筋利関法は、祛風除湿・活血通絡・補益気血を行い、経脈の通暢と筋肉の柔軟を回復する。
代表方剤
- 独活寄生湯（どっかつきせいとう）：風寒湿痺、腰膝冷痛、筋骨のしびれ。
- 蠲痺湯（けんぴとう）：風湿痺痛、関節拘急、運動不利。
- 疎経活血湯（そけいかっけつとう）：経絡阻滞による痺痛、四肢の鈍痛。
- 羌活勝湿湯（きょうかつしょうしつとう）：風湿痺痛、関節の疼痛・重だるさ。
- 大防風湯（だいぼうふうとう）：慢性の風湿痺、筋脈拘急。
臨床応用
- 慢性関節リウマチ、変形性関節症。
- 肩こり、腰痛、坐骨神経痛。
- 四肢のしびれやこわばり。
- 筋肉痛、こむら返り、腱の攣急。
- 運動後の筋疲労や柔軟性低下。
使用上の注意
- 実熱痺（関節発赤・腫脹・灼熱痛）には清熱通絡法を用いる。
- 気血虚弱が顕著な場合は補益法を併用する。
- 慢性化した場合は温通活血薬を加えるとよい。
- 外邪が残存する急性期は、発汗過多に注意する。
まとめ
舒筋利関法は、筋を舒展し、経絡を通じ、関節の屈伸障害や疼痛を改善する治法である。
代表方剤は独活寄生湯・蠲痺湯・疎経活血湯などで、祛風除湿・活血通絡・補益気血が治療の要点となる。
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