■ 概要
外邪侵入とは、外界の病因である六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)などの邪気が
体表(皮毛・経絡)から人体に侵入し、正気と邪気が争うことで発病する状態を指します。
主に呼吸器系・表層防衛機能(衛気)・経絡に影響し、悪寒・発熱・頭痛・咳嗽・鼻塞などが現れます。
■ 背景と病理
- 外邪は皮毛・口鼻・経絡から侵入し、衛気の運行を阻害する。
- 衛気が弱い(体力の低下、疲労、睡眠不足)と侵入しやすくなる。
- 邪が深部へ進むと、気分・営分・血分を侵して重症化することもある。
■ 主な原因
- 気候変動(寒暖差、湿気、強風、乾燥)
- 環境ストレス(冷房・長期の湿気・強い日差し)
- 免疫低下、過労、睡眠不足、飲食失調
- 季節性ウイルス・感染症の流行
■ 主な症状
- 悪寒・発熱・頭痛
- 咳嗽、鼻水、鼻づまり、咽痛
- 関節痛、全身倦怠感
- 表証(肌表の閉塞)による発汗異常(無汗または自汗)
- 病邪の種類により乾咳・熱感・水様鼻汁・粘稠痰などの変化
■ 舌・脈の所見
- 舌:淡紅、苔薄白または薄黄
- 脈:浮脈、または浮数
■ 外邪の類型と特徴
| 種類 | 主症状 |
|---|---|
| 風寒 | 悪寒強、発熱軽、無汗、清涕、頭痛、身体痛 |
| 風熱 | 発熱強、悪風、咽痛、口渇、黄鼻汁、黄痰、脈浮数 |
| 風湿 | 身体重だるい、胸苦、痰多、倦怠感、食欲不振 |
| 暑湿 | 発熱、口渇、胸満、下痢、疲労感 |
■ 治療原則
■ 代表的な方剤
- 風寒:葛根湯、麻黄湯、桂枝湯
- 風熱:銀翹散、桑菊飲
- 風湿:藿香正気散
- 暑湿:清暑益気湯
■ 養生のポイント
- 冷え・湿気・強風を避け、適切な衣服調整をする
- 睡眠と休養で正気を養う
- 過労とストレスを避ける
- 室内の換気と湿度管理
- 適度な発汗運動(無理な大量発汗は避ける)
■ まとめ
外邪侵入は、六淫の邪気が体表から侵入して発症する状態であり、
悪寒・発熱・咳嗽・鼻症状などが主な特徴です。
治療は解表散邪と扶正祛邪を基本とし、生活の調整と予防が重要です。
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