宣降肺気とは

宣降肺気(せんこうはいき)とは、肺の宣発作用を回復させ(宣)、同時に粛降作用を正常に働かせる(降)ことで、肺気の失調を整える治法を指します。
主に、外邪の侵襲や痰・気滞などにより肺の宣発・粛降が阻害され、呼吸器症状や気機の上逆が生じた病態に用いられます。

肺は「宣発粛降」を主り、気を全身に巡らせるとともに、不要なものを下へ降ろします。 このバランスが崩れると、宣発失調では咳・悪寒・無汗などが、粛降失調では咳逆・喘・胸悶などが現れます。 宣降肺気は、「宣して通し、降ろして整える」ことを同時に行う点が特徴です。


■主な適応病態

  • 肺気失宣・肺気不降
  • 外感風邪による咳嗽
  • 痰阻肺絡による喘咳
  • 気逆を伴う呼吸器症状
  • 胸中気機の停滞


■主な症状の特徴

  • 咳嗽・喘鳴
  • 息苦しさ・呼吸不利
  • 胸悶・胸部圧迫感
  • 痰が切れにくい、または上逆する
  • 外感時の悪寒・無汗(宣発失調)
  • 脈浮または弦、苔薄白~白膩


■代表的な配合生薬の働き

  • 宣肺薬:肺気を開き外邪を散らす
  • 降気平喘薬:上逆した肺気を下ろす
  • 化痰薬:痰を除き肺気の通利を助ける
  • 理気薬:胸中の気滞を調える


■類似治法との違い

  • 宣肺解表:外感初期で解表を主とする
  • 降気平喘:気逆・喘を主とし宣発は軽視
  • 清肺瀉熱:肺熱主体の病態に用いる


■まとめ

宣降肺気は、肺の二大機能である「宣発」と「粛降」を同時に整える治法であり、咳・喘・胸悶などの呼吸器症状を気機の観点から是正することを目的とします。
外感・内傷を問わず、肺気失調に対する基本的かつ重要な治療原則です。

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