胸陽不宣とは

胸陽不宣(きょうようふせん)とは、胸部を温め・巡らせ・気機を通じさせる胸中の陽気(とくに心陽・肺気・宗気)がうまく発散・流通できず、胸部の気血運行が停滞した状態を指します。
胸陽は、呼吸・血行・胸中の気機の昇降出入を統括する働きをもつため、その宣発が失調すると、胸悶・胸痛・呼吸苦・動悸などの症状が現れます。


主な原因には、寒邪の侵入、痰湿の停滞、瘀血阻滞、陽気不足などがあります。とくに寒邪や痰湿が胸中に停滞すると、陽気の温通作用が抑えられ、胸陽の宣通が妨げられます。


主な症状としては、胸悶・胸痛(圧迫感・刺痛)、呼吸が浅い、動悸、息切れ、寒がる、顔色蒼白、舌質暗または淡、脈沈・遅・渋などがみられます。痰湿が関与する場合は胸苦しさと痰多、瘀血が強い場合は刺痛・固定痛が目立ちます。


病機のポイントは、「胸中陽気の宣通失調 → 気血運行阻滞」にあります。すなわち、温通・推動・宣散という胸陽の働きが低下することで、胸部の気血水が停滞し、心肺機能の失調が生じます。


治法は、温陽通陽・宣痺開結・理気活血・化痰散結などが基本となります。原因に応じて、温陽散寒・通陽化飲・活血化瘀などを組み合わせます。

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