風寒束肺とは

風寒束肺(ふうかんそくはい)とは、外界の風邪(ふうじゃ)と寒邪(かんじゃ)が体表から侵入し、肺の宣発・粛降機能を閉塞・抑制してしまった病理状態を指します。

肺は「嬌臓」と呼ばれ、外界に最も近い臓であり、皮毛や腠理を通じて外邪の影響を受けやすい性質を持っています。そのため、風寒の侵入を受けると最初に肺の機能が障害されやすいのが特徴です。

風寒が侵入すると、まず腠理が閉塞して衛気の発散が阻まれ、体表の開闔機能が失調します。これにより発汗が停止し、寒邪の収引・凝滞作用によって気機の流通が滞り、肺気の宣発作用が強く抑え込まれます。

さらに、肺は水道を通調する臓であるため、宣発機能が障害されると津液の布散が停滞し、清稀な痰や鼻水が生じるようになります。

この病機の本質は、外寒によって肺気の宣発が束縛され、肺気が鬱閉している状態にあります。すなわち「束」とは、寒邪の収縮性によって肺気の発散が閉ざされていることを意味します。


主な症状
悪寒が強く発熱は軽度または微熱、無汗、頭痛、身体痛などの典型的な表寒症状に加え、咳嗽、声の重濁、鼻閉、清稀な鼻水、白く薄い痰などの肺気失宣の症状がみられます。
舌質は淡紅で苔は薄白、脈は浮緊となるのが代表的所見です。

本病機は外感病の初期段階に相当し、適切に治療されない場合には、鬱滞した寒邪が化熱して風熱犯肺へ移行したり、長引くことで肺気鬱滞や痰湿阻肺などの内傷病機へ変化することもあります。


治法
辛温解表・宣肺散寒・止咳化痰を原則とします。すなわち、風寒を発散して腠理を開き、肺気の宣発機能を回復させることが治療の要点となります。

0 件のコメント:

コメントを投稿