宣肺(せんぱい)とは、肺の持つ宣発(せんぱつ)作用を回復させ、肺気の停滞や閉塞を解消する治療法です。
東洋医学では、肺は「宣発粛降」という二つの重要な働きを担い、体表・呼吸・水分代謝などの調節に関与すると考えられています。
鍼灸治療における宣肺は、経穴刺激によって肺気の流れを整え、呼吸機能や体表の防御機能(衛気)を回復させることを目的として行われます。
肺の宣発作用とは
肺の宣発作用とは、体内の気や津液を体表へと発散させる働きを指します。
この働きによって次のような生理機能が維持されています。
- 呼吸機能の調整
- 衛気の体表への分布
- 皮毛の滋養
- 汗孔の開閉
- 津液の散布
宣発作用が正常であれば、体表の防御機能が保たれ、呼吸も円滑に行われます。
宣発失調によって起こる症状
肺の宣発作用が低下または閉塞すると、次のような症状が現れることがあります。
- 咳嗽
- 呼吸の苦しさ
- 鼻閉
- 無汗または発汗異常
- 皮膚の乾燥
- 体表の防御力低下
特に外感の風寒や風熱によって肺気が閉塞すると、咳や鼻閉などの症状が現れやすくなります。
宣肺が必要となる主な病機
宣肺治療は、次のような病機に対して行われることがあります。
これらの状態では、肺気の宣発が妨げられているため、宣肺によって肺気の通調を図ります。
鍼灸による宣肺の作用
鍼灸による宣肺では、経絡や経穴の刺激を通じて次のような作用が期待されます。
- 肺気の宣発促進
- 呼吸機能の調整
- 体表防御機能の回復
- 痰の排出促進
- 気機の疏通
特に肺経や大腸経の経穴は、肺気の通調に関与すると考えられています。
宣肺に用いられる代表的経穴
宣肺治療では、次のような経穴が用いられることがあります。
これらの経穴は肺気の通調や体表機能の調整を目的として選択されることがあります。
宣肺の刺鍼方法
宣肺を目的とする刺鍼では、気の発散を促す操作が用いられることがあります。
- 軽度の捻転操作
- 提挿操作
- 適度な留鍼
- 体表近くの浅刺
外感による肺気閉塞の場合は、体表の気機を通じさせる刺鍼が行われることがあります。
宣肺治療の意義
宣肺は、呼吸機能だけでなく体表の防御機能や水分代謝にも関わる重要な治療法です。
肺は「華蓋」とも呼ばれ、全身の気機調整に関わる臓腑とされるため、宣肺治療は幅広い症状に応用されることがあります。
まとめ
鍼灸における宣肺とは、肺の宣発作用を回復させることで呼吸機能や体表機能を整える治療法です。
肺気の停滞や閉塞による咳嗽、鼻閉、呼吸不調などに対して応用され、経絡や経穴刺激によって肺気の通調を図ります。
宣肺は、東洋医学において呼吸器系の症状や外感病の治療に重要な役割を持つ治法の一つとされています。
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