熱極生風とは

熱極生風(ねつきょくせいふう) とは、体内に強烈な熱邪が極まることで内風を生じ、動揺や痙攣などの症状を引き起こす危重な病証です。
「熱極まれば風を生ず」と言われるように、高熱によって血液や津液が損傷し、筋脈を失養することで風動が発生します。小児の高熱や熱性痙攣、急性熱病の重篤症状に相当します。


原因

  • 外感熱邪: 外邪(温邪・熱邪)が体内に侵入し、熱が極まる。
  • 温熱病の邪盛: 疫毒や温熱邪が気営血にまで入り、熱が熾盛となる。
  • 小児の稚陰未充: 小児は陰液が不足しやすく、高熱によって津液が消耗し、風を生じやすい。

主な症状

  • 高熱が続き、突然の痙攣や強直
  • 手足の震え、角弓反張
  • 意識障害、譫語、昏迷
  • 顔面紅潮、目がつり上がる
  • 便秘・尿少・口渇など熱盛の症状

舌・脈の所見

  • 舌: 絞絳(赤く乾燥)、苔は黄燥
  • 脈: 弦数有力

代表的な方剤

  • 羚角鉤藤湯(れいかくこうとうとう): 熱極生風による高熱・痙攣・神昏に用いる。
  • 安宮牛黄丸(あんきゅうごおうがん): 熱盛神昏に対して開竅醒神の目的で使用。
  • 紫雪丹(しせつたん): 熱入営血、熱極による痙攣・譫語に適応。

養生の考え方

  • 急性発症のため、まずは速やかに医療機関で対応することが最優先。
  • 高熱を放置しない、こまめに体温管理を行う。
  • 日頃から余分な熱をためないよう、脂っこい食事・辛辣なものを控える。
  • 清熱・滋陰の食材(梨、スイカ、百合根、緑豆など)を意識的に摂取。

まとめ

熱極生風とは、熱邪が極まって内風を生じる危重の病証であり、高熱・痙攣・神昏を特徴とします。
治療の基本は「清熱熄風・開竅救急」であり、臨床では救急処置と併行して熱を下げ、風を鎮めることが要点です。

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