気虚とは

気虚(ききょ) とは、東洋医学において「気」が不足している状態を指します。
気は生命活動のエネルギー源であり、臓腑の働きや血・津液の運行を支えています。
その気が不足すると、体力や抵抗力が弱まり、さまざまな症状が現れます。


気虚の主な症状

  • 疲れやすい、倦怠感がある
  • 息切れ、声に力がない
  • 自汗(自然に汗が出やすい)
  • 食欲不振、消化不良
  • 風邪をひきやすい、感染にかかりやすい
  • 顔色が青白い、艶がない

気虚が起こる原因

  • 先天的な虚弱: 体質的に気が不足しやすい。
  • 過労・睡眠不足: 気を消耗し、補う余裕がなくなる。
  • 飲食の不摂生: 脾胃の働きが弱まり、気を十分に生み出せない。
  • 慢性疾患: 長引く病気によって気が消耗される。

代表的な証

気虚は、特に脾気虚(ひききょ)肺気虚(はいききょ)として現れることが多いです。

  • 脾気虚: 食欲不振、軟便・下痢、疲労、出血傾向。
  • 肺気虚: 咳・息切れ、風邪をひきやすい、声が弱い。

気虚と他の病理との関係

  • 気虚 → 血虚: 気が不足すると血を生み出せず、血虚に進むことがある。
  • 気虚 → 陽虚: 気が不足すると温める力が弱まり、冷えを伴う陽虚に転じる。
  • 気虚 → 気滞: 気が不足して推動力が落ち、流れが滞ることがある。

改善の方向性

気虚の治療では補気(ほき)が基本となります。
鍼灸では「足三里」「気海」などを用い、漢方薬では「補中益気湯」「四君子湯」などが代表的です。
また、十分な休養・バランスのとれた食事・適度な運動も重要です。


まとめ

気虚とは、生命活動のエネルギーである気が不足した状態であり、疲労感や消化不良、免疫力低下などの症状をもたらします。
脾や肺と関わりが深く、放置すると血虚や陽虚に発展する可能性があります。
補気を中心とした養生と治療が、改善の鍵となります。

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