四君子湯(しくんしとう)

📘 基本情報

項目内容
方剤名四君子湯(しくんしとう)
出典『太平恵民和剤局方』
分類補気剤健脾益気剤
構成生薬 人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)
方名の由来 徳の高い「君子」が四人いることにたとえられた名。
四薬が調和よく協働して、脾胃を健やかにすることから。


🧭 方意(効能と主治)

区分内容
効能補気健脾益気和中
主治脾胃気虚による食欲不振・倦怠感・軟便・顔色不良・気力低下など。
消化吸収力が落ちて、気の生成が不足する「気虚証」に用いる。
病機 脾胃虚弱 → 運化失常 → 気血生化不足。
消化吸収の低下により全身のエネルギーが不足する。


🌡 臨床的特徴

観点内容
症状の特徴 食欲不振・疲れやすい・顔色が悪い・声が小さい・息切れ・軟便傾向。
風邪をひきやすく、回復に時間がかかる。
体質傾向 虚弱体質・胃腸虚弱・疲労しやすい・冷えやすいタイプ。
小児や高齢者にも適する穏やかな補剤。
脈証・舌象 脈:虚弱・細弱。
舌:淡白、苔は薄白または無苔。


💊 構成生薬と作用

生薬主要作用
人参元気を補い、脾胃を強化して気血を生化する。
白朮脾を健やかにし、水湿を除く。
茯苓脾を助け、利水・安神作用をもつ。
甘草諸薬を調和し、脾胃を和中・補気。


🩺 現代医学的な理解

  • 胃腸機能の低下、慢性胃炎、食欲不振、体力低下などに応用。
  • 免疫賦活・抗ストレス・抗潰瘍・代謝促進作用が報告されている。
  • 慢性疾患の体力回復や化学療法後の倦怠感にも使用。


💬 臨床応用例

  • 胃腸虚弱・食欲不振・消化不良。
  • 慢性下痢・軟便。
  • 倦怠無力・疲労回復。
  • 小児・高齢者の虚弱体質改善。
  • 慢性疾患の体力補助・術後回復促進。


⚖️ 類方・加減方との比較

方剤特徴・鑑別点
六君子湯四君子湯+半夏・陳皮。
胃もたれ・嘔気・痰湿を伴う場合に。
補中益気湯四君子湯に柴胡・黄耆などを加えた強壮方。
疲労倦怠がより強い場合に。
人参湯寒が強く、胃内停水を伴う場合に。
香砂六君子湯四君子湯+香附子・木香など。
胃気の停滞や腹部膨満感を伴う場合。


⚠️ 使用上の注意

  • 実証・熱証体質には不向き。
  • 胃腸虚弱を目標に、体質を見極めて使用。
  • 長期連用でも比較的安全だが、過剰摂取には注意。


📖 メモ(臨床的要点)

  • 脾胃虚弱の基本方であり、「補気剤の基本」とされる。
  • 疲れ・食欲不振・顔色不良など「気の不足」に着目。
  • 多くの補剤(六君子湯・補中益気湯など)の基礎構成。
  • 穏やかな作用で、小児から高齢者まで幅広く適用可能。

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