血熱(けつねつ) とは、体内に熱邪が入り、血分にまで及んで血液が熱を帯び、血行が促進されすぎた状態を指します。
血が熱によって乱れ、出血や皮膚疾患、精神的興奮などを引き起こすことが多く、急性熱性疾患や慢性的な炎症性疾患にも関連します。
原因
- 外感熱邪: 風熱・温邪などの外邪が侵入して血分に及ぶ。
- 情志の失調: 怒り・抑うつが続き、肝気鬱結が化火して血分を灼く。
- 飲食の不摂生: 辛いもの・アルコール・油っこい食事が熱を生じて血に入る。
- 陰虚火旺: 慢性病や過労により陰が損耗し、虚熱が内生して血熱を呈する。
主な症状
- 皮膚の発疹・発赤・かゆみ(蕁麻疹・湿疹など)
- 鼻出血、歯ぐき出血、血尿、血便、吐血などの出血傾向
- 月経量過多、経期短縮、鮮紅色の経血
- 顔面紅潮、口渇、いらいら、不眠
- 舌紅、脈数など、明らかな熱証の所見
舌・脈の所見
- 舌: 舌質は紅、苔は黄または少苔
- 脈: 数(速)または弦数
代表的な方剤
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう): 実熱が盛んで顔の紅潮・不眠・出血を伴うときに用いる。
- 清営湯(せいえいとう): 温熱病が血分に入り、高熱・皮疹・出血などを呈する際に用いる。
- 犀角地黄湯(さいかくじおうとう): 血熱による出血・発斑・高熱に適する。
- 凉血地黄湯(りょうけつじおうとう): 慢性の血熱で皮膚炎や湿疹がある場合に用いる。
養生の考え方
- 辛い・油っこい・アルコール類を控え、熱をこもらせない
- ストレスや怒りを抑え、心を静める
- 十分な睡眠をとり、陰を養って虚熱を防ぐ
- 緑豆・ゴーヤ・トマト・セロリなど、清熱涼血作用のある食材を摂る
- 皮膚症状がある場合は、過剰な刺激や摩擦を避ける
まとめ
血熱とは、熱邪が血分に侵入または内生して血が熱を帯び、出血・発疹・精神興奮などの症状を呈する病態です。
治療・養生の基本は「清熱涼血」であり、心身を静め、熱を鎮める生活習慣が重要です。
0 件のコメント:
コメントを投稿