概要
養血清熱(ようけつ せいねつ)は、血虚を基盤としながら、虚熱や血熱を伴う病態に対して、血を養って陰液を充実させつつ、清熱で虚熱・血熱を鎮める治法である。
血は陰に属し、陰虚すれば内熱が生じ、さらに血虚によって熱が鎮められず「虚熱」「血熱」として現れる。これを調整するのが本治法である。
主な適応症状
- 低熱・潮熱・五心煩熱(手足心煩熱感)
- 皮膚乾燥・瘙痒・紅疹
- 顔や目の赤み・煩躁・不眠
- 口乾・咽渇
- 舌質紅・少苔・脈細数
主な病機
- 血虚 → 血の清潤作用が失われる → 虚熱・血熱を助長
- 陰血不足 → 陰虚火旺
- 血虚熱盛 → 皮膚や心神が擾乱される
主な配合法
- 養血清熱+滋陰降火:虚熱が強く、口渇・潮熱が著しい場合
- 養血清熱+安神寧心:血虚により心神不安・不眠がある場合
- 養血清熱+涼血止血:血熱により出血傾向がある場合
- 養血清熱+潤燥止痒:皮膚の血虚風燥に熱を兼ねる場合
代表的な方剤
- 清営湯(変方):血分の熱盛に養陰・養血を兼ねる。
- 当帰六黄湯:陰血不足・虚熱妄動・盗汗に用いる。
- 養血清熱湯(経験方):婦人の血虚発熱や皮膚瘙痒に。
- 加減一貫煎:肝腎陰虚に虚熱を帯びる場合。
臨床でのポイント
- 血虚の根本治療を行いつつ、余熱・虚熱を制御することが大切。
- 当帰・生地黄・白芍・丹皮・黄芩・黄柏・玄参などの組み合わせがよく使われる。
- 婦人科疾患(経少・経閉・更年期の潮熱盗汗)、皮膚疾患(血虚風燥に熱を兼ねる掻痒)、慢性虚労発熱などに応用される。
- 「血虚+熱象」のセットが見られるときに選択される。
まとめ
養血清熱は、血虚による虚熱・血熱を同時に調整する治法であり、慢性消耗性疾患、更年期障害、婦人科・皮膚科疾患などに広く応用される。
「養血」を本とし、「清熱」を標にする点が臨床上の要点である。
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