清陽不昇とは、脾胃を中心とした中焦の気が虚し、本来上昇すべき清陽の気が頭面や上部へ昇らない状態を指します。
清陽は「上昇して頭目を養う」性質をもちますが、脾気虚弱により昇提作用が失われると、眩暈や頭重感、倦怠感などが現れます。
主な原因
- 脾気虚: 飲食不摂・過労・久病により脾の運化・昇清作用が低下する。
- 中気不足: 後天の気血生化が不足し、清陽を持ち上げる力が弱まる。
- 湿濁内生: 湿邪が中焦に停滞し、清陽の上昇を阻害する。
- 久坐・運動不足: 気機の昇降が停滞しやすくなる。
病理機転
- 脾は清陽を昇らせるが、脾気虚により昇清機能が低下する。
- 清陽が上昇できず、頭目・上竅が十分に滋養されない。
- 湿濁が加わると、さらに清濁分離が失調する。
主な症状
- 頭重感・頭がすっきりしない
- めまい・立ちくらみ
- 倦怠感・疲れやすい
- 集中力低下・思考力低下
- 食欲不振、腹部膨満感
- 声が小さい、話すと疲れる
舌・脈の所見
- 舌: 淡、胖、苔薄白または白膩
- 脈: 虚弱・緩、または沈細
関連する病証
治法
養生の考え方
- 規則正しい食事で脾胃を養う。
- 冷飲・甘味・脂っこい食事を控える。
- 軽い運動や散歩で気の巡りを促す。
- 過労・夜更かしを避け、十分な休養をとる。
まとめ
清陽不昇は、脾気虚を基盤とする昇清失調の病証です。
頭目の不調や慢性的な疲労感を呈しやすく、治療は補中益気・昇陽挙陷を中心に行います。
生活面では脾胃を傷めない食養生と、気の昇降を助ける習慣が重要です。
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