膀胱閉塞とは

膀胱閉塞とは、膀胱の気化作用や通利機能が障害され、尿の排出が滞る病証を指します。
東洋医学では、膀胱は腎気の作用を受けて水液を気化し、尿として排泄しますが、 気機の阻滞や湿熱・瘀血・結石などによりこの働きが妨げられると、排尿困難や尿閉が生じます。

主な原因

• 湿熱下注： 湿熱邪が下焦に停滞し、膀胱の通利を阻害する。
• 気滞・気虚： 気機の停滞、または推動力不足により排尿が困難となる。
• 瘀血内阻： 瘀血が膀胱経絡を阻滞し、尿路の通行を妨げる。
• 腎陽不足： 気化作用が低下し、尿を正常に排泄できない。
• 結石・痰濁： 砂石・痰濁が膀胱内に停滞し閉塞を起こす。

病理機転

• 膀胱の気化作用が障害され、尿の生成・排泄が円滑に行われなくなる。
• 湿熱・瘀血・痰濁などの実邪が通路を塞ぐ。
• 腎気虚弱では、尿を押し出す力が不足する。

主な症状

• 排尿困難、尿が出にくい
• 尿閉、または点滴状にしか出ない
• 下腹部の膨満感・張痛
• 残尿感
• 尿少、尿不利
• 湿熱型では尿黄・灼熱感・口渇を伴う

舌・脈の所見

• 舌： 湿熱では紅・苔黄膩、虚寒では淡・苔白
• 脈： 滑数（湿熱）、沈細・虚弱（腎虚）

関連する病証

• 癃閉
• 湿熱下注
• 腎陽不足
• 瘀血内阻

治法

• 清熱利湿： 湿熱を除き、尿路を通す。
• 通利水道： 膀胱の排尿機能を回復させる。
• 益気温腎： 腎気を補い、気化作用を助ける。
• 活血通絡： 瘀血による閉塞を改善する。

養生の考え方

• 水分摂取を適切に行い、尿を滞らせない。
• 辛辣・酒類・脂っこい食事を控える。
• 下腹部・腰部を冷やさない。
• 排尿を我慢しない習慣をつける。

まとめ

膀胱閉塞は、膀胱の気化・通利機能が失調し、尿の排泄が障害された病証です。
実証では湿熱・瘀血、虚証では腎気・腎陽不足が背景となることが多く、 治療は通利水道を基本に、虚実を見極めて調整することが重要です。